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[クラシック・ニュース 2009/3/29 - 2009/4/4]
2009年4月1日(水)
関西フィル 常任指揮者:飯守泰次郎と巡る「奇跡の音楽シリーズ」をいずみホールで!
飯守泰次郎
 関西フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者:飯守泰次郎と巡る奇跡の音楽史、次のチクルスを発表した。2004年から開始した関西フィルによる「いずみホールシリーズ」は2009年で第15回目になる。2001年から常任指揮者に就任した飯守泰次郎も何度か登場を重ねていたが、関西フィルとのよい絆につながれて更なる大きな成果を生み出すため、2009年度は全4公演を指揮する。
 
 飯守泰次郎とベテランソリスト、偉大な作曲の傑作、1930年代のパリで初演した大澤壽人のピアノ協奏曲第2番といった注目作品をふくめて、音楽史的にも興味深い作品を取り上げている。
 
関西フィルハーモニー管弦楽団
http://www.kansaiphil.jp/
コンサート情報:関西フィル「The Discovery」(2009年度いずみホールシリーズ)
円熟の名匠・飯守泰次郎の指揮で独墺仏露の音楽史を辿る…
国内外の若手・巨匠など、注目のソリストとのフレッシュな共演!
イェルク・デームス
“ベートーヴェンの継承”
ウィーン・ロマン派の大家デームスの登場、
80歳を超えて深まる繊細さと豊かな抒情!
2009年4月9日(木)19時 いずみホール (いずみホールシリーズ Vol.15)

独奏:イェルク・デームス(ピアノ)

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 作品68

チラシ(表・裏)(PDF/568k)
※このPDFのファイルからプリントして下さい。チラシとして活用できます。
“生誕200年記念〜メンデルスゾーンの美〜”
2009年9月17日(木)19時 いずみホール(いずみホールシリーズVol.16) 5/20発売予定
 
指揮:飯守泰次郎(関西フィル常任指揮者)
独奏:オーギュスタン・デュメイ(ヴァイオリン)
 
メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟(ヘブリディーズ諸島)」作品26
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
メンデルスゾーン:交響曲第3番 イ短調 作品56「スコットランド」
“1930's 輝けるフランス” 
2009年11月3日(火・祝)15時 いずみホール(いずみホールシリーズVol.17) 7/22発売予定
 
指揮:飯守泰次郎(関西フィル常任指揮者)
独奏:迫 昭嘉(ピアノ)
 
大澤壽人:ピアノ協奏曲 第2番
ラヴェル:ボレロ
ほか
“ロシアの雄渾”
2010年2月6日(土)18時 いずみホール(いずみホールシリーズVol.18) 2009/10/21発売予定
 
指揮:飯守泰次郎(関西フィル常任指揮者)
独奏:大谷玲子(ヴァイオリン)
 
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 作品64
ほか
各コンサート 入場料 S席¥5,000/A席¥3,500(全席指定/消費税込)
お問い合わせ:06-6577-1381
関西フィルハーモニー管弦楽団
http://www.kansaiphil.jp/
お知らせ
《関西フィルハーモニー管弦楽団 東京特別演奏会》
2009年7月1日(水)19時 サントリーホール

指揮:藤岡幸夫
独奏:舘野泉(ピアノ)

サン=サーンス:交響詩「死の舞踏」作品40
吉松隆:左手のためのピアノ協奏曲「ケフェウス・ノート」作品102a<改訂版関東初演(「舘野泉左手の文庫」助成作品)
シベリウス:交響曲第1番 ホ短調 作品39

入場料 S席¥6,000/A席¥4,000/B席¥2,000
お問い合わせ:06-6577-1381

チラシ(表・裏)(PDF/536k)
※このPDFのファイルからプリントして下さい。チラシとして活用できます。

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2009年4月1日(水)
バリトン:宮本益光オペラ&コンサートに八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍!
オペラ訳詞家として日本語訳で歌うオペラを!
宮本益光

photo:M.Yabuta
 バリトン歌手の宮本益光は各方面で注目を集め文字通り八面六臂の活躍ぶりである。彼がライフワークのひとつとして取り組んでいるのはオペラを日本語訳詞で歌うこと。
4月24日に開かれるリサイタルでは、自らの訳詞によるオペラ・アリアを(場面仕立てで)披露する。また第2部では芸大の博士課程修了研究でも取り組んだペルゴレージの「奥様は女中!?」全曲を歌手はもちろん、演出も手がけ活き活きとした舞台を創り上げる。
 
 一昨年、日生劇場での音楽ドラマ「チャイコフスキー〜わが心の旅〜」で共演して以来、音楽の魅力を語り合う仲となった、俳優の長谷川初範氏の客演も楽しみだ。共演には鵜木絵里、鈴木准など二期会の旬の逸材が揃う。
 
「インタビュー@クラシック」で語るオペラ訳詞家:宮本益光
http://classicnews.jp/interview/index.html
 
 オペラの原語上演のよさも認めつつ、日本人としてあえて日本語訳詞にこだわる。歌い手として、音楽の現場でオペラ訳詞家を目指す。

 
公演情報:ピックアップアーティストVol.10 「宮本益光の今」(二期会21) 
http://www.nikikai21.net/pickup/masumitsu_miyamoto_int.html
コンサート情報
《宮本益光リサイタル バリトン・オペラ訳詞家》
日本語訳詞で聴くオペラ名場面集

2009年4月24日(金)19時 津田ホール(JR千駄ヶ谷駅前)

バリトン・日本語訳詞:宮本益光
ピアノ:石野真穂
 
ソプラノ:鵜木絵里
テノール:鈴木准
語り・黙役:長谷川初範
 
第一部
モーツァルト:「魔笛」より オイラは鳥刺しパパゲーノ    
オッフェンバック:「地獄のオルフェ」より
 奥に潜むネズミには
 そこのけ僕のメルキュール
ドニゼッティ:「愛の妙薬」より
 戦う神様は・・・
 皆さん、聞いて〜二重唱
ヤナーチェク:「利口な目狐の物語」より「やっぱりだ!こりゃ見事なキノコ」
第二部
ベルゴレージ:「奥様は女中!?」全曲 
 
チケット:4500円
お問い合わせ:03-3796-1818
東京二期会
http://www.nikikai.net/index1.html

チラシ(表・裏)(PDF/1.1M)
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2009年4月1日(水)
ヴァイオリン:シュロモ・ミンツ、パガニーニの24のカプリス全曲に強い思い入れ!
シュロモ・ミンツ

photo:M.Yabuta
 シュロモ・ミンツにとってパガニーニの「24のカプリス」に対する思いはつよい。2007年50才を記念にスカラ座をかわぎりにカプリス24全曲の世界ツアーを始めた。この東京でのコンサートが締めくくりとなる。1980年ドイツ・グラマフォンとのレコードでパガニーニの「24のカプリス」で鮮烈なデビューを飾っている。技巧的に難曲であるが見事に乗り切り最近ではさらに円熟味を加えている。このコンサートに期待するものが大きい。
 
この全曲リサイタルを前に「インタビュー@クラシック」で語る。
 
シュロモ・ミンツ「インタビュー@クラシック」で!
http://classicnews.jp/interview/index.html
 
 パガニーニは楽譜にカプリス24全曲をヴァイオリン演奏者に捧げると書いてあって、実際彼が演奏したという記録はない。また原譜に付けられたアラビヤ文字で表した数字が彼のルーツを示すのではないかという話題に触れる。とてもミステリアスな話である。
 
 ミンツは2009年4月4日に本選をむかえる第2回宗次エンジェルヴァイオリンコンクールの審査委員長として来日している。


第2回宗次エンジェルヴァイオリンコンクール
http://www.munetsuguhall.com/competition/index2.php
コンサート情報:ヴァイオリン:シュロモ・ミンツ
《シュロモ・ミンツ ヴァイオリンリサイタル》
2009年4月7日(火)19時30分 紀尾井ホール

パガニーニ:24のカプリス op.1 全曲

S7000円 A5000円 B4000円 C2000円(当日券は+500円)
お問い合わせ:03-3352-7310
Email: info@musicalte.com

チラシ(表・裏)(PDF/1.5M)
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2009年3月31日(火)
バッハ・コレギウム・ジャパン《マタイ受難曲》メンデルスゾーン・イヤーにあたり 1841年の蘇演稿で!
 バッハの「マタイ受難曲」は1841年メンデルスゾーンの手でマタイ受難曲が初演された地、ライプツィヒの聖トマス教会で蘇演した。それによってこの曲が大きく評価されて、今日演奏されるようになったことはよくしられている。初演以来100年も演奏されることなく眠っていた。
 
 メンデルスゾーン生誕200周年にあたり、マタイ受難曲の意義深い蘇演を振り返って見ることもメンデルスゾーン・イヤーにふさわしい。このたびの演奏会では1841年の蘇演稿によって演奏する。


バッハ・コレギウム・ジャパン
         
鈴木雅明
(指揮・音楽監督)
レイチェル・ニコルズ
(ソプラノ)
加納悦子
(アルト)
ゲルト・テュルク
(テノール)
ドミニク・ヴェルナー
(バス)

バッハ・コレギウム・ジャパン
http://www.bach.co.jp/japanese_page_top.htm
コンサート情報:受難節コンサート2009
《第84回定期演奏会 鈴木雅明 バッハ・コレギウム・ジャパン》
バッハ×メンデルスゾーン プロジェクト2008〜2009
『J.S.バッハ:「マタイ受難曲」 〜メンデルスゾーン上演稿(1841年) による』

2009年4月10日(金) 19時 東京オペラシティ コンサートホール タケミツ メモリアル

指揮:鈴木雅明
ソプラノ:レイチェル・ニコルズ
アルト:加納悦子
テノール/エヴァンゲリスト:ゲルト・テュルク
バス/イエス:ドミニク・ヴェルナー
バッハ・コレギウム・ジャパン(合唱&管弦楽)

S10000円(完売) A8500円 B7000円 C5000(完売)

お問い合わせ:03-3226-5333

チラシ(表・裏)(PDF/1.8M)
※このPDFのファイルからプリントして下さい。チラシとして活用できます。
その他のスケジュール
2009年4月4日(土)  17時 三井住友海上しらかわホール(名古屋)
問: 052-222-7117 
http://www.shirakawa-hall.com/toppage02.html
 
2009年4月11日(土) 16時 佐倉市民音楽ホール
問: 043-461-6221
http://www.city.sakura.lg.jp/onhole/   
    
2009年4月12日(日) 16時 兵庫県立芸術文化センター
問: 0798-68-0255
http://www1.gcenter-hyogo.jp/sysfile/center/top.html
バッハ・コレギウム・ジャパン音楽監督  鈴木雅明

 2009年は、フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディの生誕200周年という大きな記念の年にあたります。政治や社会情勢に翻弄された音楽家は決して少なくはないでしょうが、メンデルスゾーンもまたその一人でした。彼のユダヤ人として出自が、生前の大きな名声にも関わらず、後世の評価を大きく左右してしまったのです。そのような観点から見れば、彼がわずか38歳で亡くなったことは、かえって幸運であったかもしれません。さもなくば、彼は生前にもっと大きな心の傷を負うことになったかもしれないからです。
 
 1947年に催された彼の没後100周年のメンデルスゾーン音楽週間でさえ、未だ「メンデルスゾーンの多くの作品は歴史的評価に耐えられず、自然淘汰された」とされていたのです。その後、多くの音楽家や研究者の努力によって今や状況は全く変わり、メンデルスゾーンのもたらした音楽上の功績はより正しく認識され、多くの作品が演奏されるようになりました。しかしなお、メンデルスゾーンが残したバッハ復興の偉業については、未解決の問題が少なくありません。
 
 今回、そのような意味で、1947年以後初めて訪れたこの大きな記念の年に、メンデルスゾーンが行った有名なJ.S.バッハのマタイ受難曲復活を再現することは、喜び以上の使命感をさえ感じます。
 
 彼のマタイ受難曲の再演は、1829年3月11日ベルリンのジング・アカデミーで行われた史実が有名ですが、その12年後の1841年、メンデルスゾーンはJ.S.バッハ以後初めて、マタイ受難曲が初演された地、ライプツィヒの聖トマス教会でも演奏しているのです。今回は、このときの演奏方法を基にして演奏いたします。
 
 ベルリンの演奏では大半のアリアが省略されましたが、ライプツィヒでは少し復活しました。エヴァンゲリストはピアノではなく、2本のチェロの奏でる和音で伴奏され、オーボエ・ダ・カッチャの代わりにバセット・ホルンが用いられたり、「憐れみたまえ」Erbarmedichがソプラノで歌われるなどなど、今日私たちが知っているオリジナルの形とは多くの点で異なっています。しかし、これはメンデルスゾーンがJ.S.バッハの姿をゆがめようとしたのではなく、むしろバロック時代のことなどすっかり忘れてしまった19世紀の聴衆に、J.S.バッハの音楽的メッセージをよりよく伝えようとする、大胆な工夫であったと思われます。そのメンデルスゾーンのおかげで、マタイ受難曲はまさしく再発見され、近代のバッハ受容の大きな土台を築いたのでした。
 
 今回は、メンデルスゾーンの目と耳を通してJ.S.バッハに迫ります。もしそこで何らかの感動が呼び起こされたとすれば、はたしてそれは、バッハのゆえか、メンデルスゾーンのゆえか・・・。それは演奏が終わってから、じっくりと考えてみることにいたしましよう。

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2009年3月31日(火)
江藤光紀:CD、問はず語り(その46)
フランソワ ショパン
ディスク1 
EMIクラシックス・ベスト100 シリーズ第2期
『ショパン:バラード第1番〜第4番/スケルツォ第1番〜第4番』

サンソン・フランソワ

収録曲
01. ショパン:バラード 第1番 ト短調 作品23
02. ショパン:バラード 第2番 へ長調 作品38
03. ショパン:バラード 第3番 変イ長調 作品47
04. ショパン:バラード 第4番 ヘ短調 作品52
05. ショパン:スケルツォ 第1番 ロ短調 作品20
06. ショパン:スケルツォ 第2番 変ロ短調 作品31
07. ショパン:スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 作品39
08. ショパン:スケルツォ 第4番 ホ長調 作品54
CDデータ:TOCE-14140 ¥1,500(Tax in)

ディスク2
EMIクラシックス・ベスト100 シリーズ第2期
『ショパン:27の練習曲』

サンソン・フランソワ

収録曲
01. ショパン:12の練習曲 作品10 第1番 ハ長調
02. ショパン:12の練習曲 作品10 第2番 イ短調
03. ショパン:12の練習曲 作品10 第3番 ホ長調 「別れの曲」
04. ショパン:12の練習曲 作品10 第4番 嬰ハ短調
05. ショパン:12の練習曲 作品10 第5番 変ト長調 「黒鍵」
06. ショパン:12の練習曲 作品10 第6番 変ホ短調
07. ショパン:12の練習曲 作品10 第7番 ハ長調
08. ショパン:12の練習曲 作品10 第8番 ヘ長調
09. ショパン:12の練習曲 作品10 第9番 ヘ短調
10. ショパン:12の練習曲 作品10 第10番 変イ長調
11. ショパン:12の練習曲 作品10 第11番 変ホ長調
12. ショパン:12の練習曲 作品10 第12番 ハ短調 「革命」
13. ショパン:12の練習曲 作品25 第1番 変イ長調 「牧童」
14. ショパン:12の練習曲 作品25 第2番 ヘ短調
15. ショパン:12の練習曲 作品25 第3番 ヘ長調
16. ショパン:12の練習曲 作品25 第4番 イ短調
17. ショパン:12の練習曲 作品25 第5番 ホ短調
18. ショパン:12の練習曲 作品25 第6番 嬰ト短調
19. ショパン:12の練習曲 作品25 第7番 嬰ハ短調
20. ショパン:12の練習曲 作品25 第8番 変ニ長調
21. ショパン:12の練習曲 作品25 第9番 変ト長調 「蝶々」
22. ショパン:12の練習曲 作品25 第10番 ロ短調
23. ショパン:12の練習曲 作品25 第11番 イ短調 「木枯らし」
24. ショパン:12の練習曲 作品25 第12番 ハ短調 「大洋」
25. ショパン:3つの新しい練習曲 第1番 ヘ短調
26. ショパン:3つの新しい練習曲 第2番 変ニ長調
27. ショパン:3つの新しい練習曲 第3番 変イ長調
CDデータ:TOCE-14150 ¥1,500(Tax in)
 フランソワは70年に惜しまれつつ急逝した天才ピアニスト。私は録音でしか知らないけれど、ドビュッシーなどのフランス物は特に個性的で、面白いアーティストだと感じてきた。そのフランソワのもう一つの得意ジャンルにショパンがある。今回はその2枚から取り上げたい。
 
 バラードとスケルツォを集めた一枚は、54年から55年にかけての録音である。フランソワは24年生まれだから当時30歳を少し超えたくらいで、エネルギーは漲っているが若さだけでつっぱしるという年齢でもない。まず、その巨大なスケール感に圧倒される。ピアノが打楽器のように鳴り、低音から高音まで轟々と渦巻く。テンポやフレージングはかなり直観的に聴こえるが、それだけにショパンという作曲家の革新性に一気に飛び込んでいくような演奏だとも言える。
 
 こちらは少し録音状態が悪く、フォルテで音が割れるし、ところどころで音源を切り張りしているのも気になる。それにバラードやスケルツォは、通して聴くとちょっとくどい。繰り返し聴くに足る名盤は次のエチュードだ。小品の積み重ねだけに、フランソワが一つ一つをどう解釈し、音にしているかがよく分かる。
 
 一曲目、作品10のハ長調からスケールが大きく、チャーミングで引き込まれる。全部で27曲だが、単純なようでいてどれも異なったニュアンスが聴かれる。目立つ声部に隠れてしまうような、何気ない音の動きが思わぬ転調を導いて行ったりして、エチュードには聴くたびに新しい発見があるけれど、そうした発見へと誘ってくれるのは、フランソワの繊細かつ大胆な指使いなのだ。
 
 こちらは58年から66年にかけての録音。ステレオ技術が普及した時代のもので、独特な温かみのある音が最新リマスタリングを得て、透明感ある空間を駆ける。



ワーグナー「ヴァルキューレ」
ワーグナー:楽劇《ヴァルキューレ》全曲 
シェロー演出、ブーレーズ&バイロイト、ホフマン、ジョーンズ、他(1980 ステレオ)(2DVD)(日本語字幕付)

出演:
ジークムント…ペーター・ホフマン(テノール)
フンディング…マッティ・サルミネン(バス)
ヴォータン…ドナルド・マッキンタイア(バリトン)
ジークリンデ…ジャニーヌ・アルトマイア(ソプラノ)
ブリュンヒルデ…グィネス・ジョーンズ(ソプラノ)
フリッカ…ハンナ・シュヴァルツ(メッゾ・ソプラノ)
ゲルヒルデ…カルメン・レッペル(ソプラノ)
オルトリンデ…カレン・ミドルトン(ソプラノ)
ヘルムヴィーゲ…カティ・クラーク(ソプラノ)
ヴァルトラウテ…ガブリエレ・シュナウト(メッゾ・ソプラノ)
ジークルーネ…マルガ・シムル(ソプラノ)
グリムゲルデ…イルゼ・グラマツキ(アルト)
シュヴェルトライテ…グェンドリン・キレブリュー(メッゾ・ソプラノ)
ロスヴァイゼ…エリーザベト・グラウザー(アルト)
演奏:
バイロイト祝祭管弦楽団
指揮:ピエール・ブーレーズ
演出:パトリス・シェロー
CDデータ
215分/各片面2層/カラー/4:3 スタンダード・サイズ/NTSC
DTSサラウンド5.1ch/リニアPCMステレオ 日本語字幕付
 新国立劇場でキース・ウォーナー演出のリング再演が始まった。過剰なまでの記号性とポップ感が横溢する舞台は、日本や東京という場所のヨーロッパ的イメージを投影しているに違いない。
 
 こうした演出は、演出家主導といわれる近年もはや珍しいものではなくなったが、ワーグナーのオペラを現代的な意味の相のもとに再解釈しようという流れは、総本山バイロイトで1970年代後半に行われたパトリス・シェローによる本演出が転機となっていると言われている。
 
 確かにこの演出にもヴォータンがフロックコートを着、フンディングも大邸宅に暮らすブルジョワに変身しているなどの意外性はあるが、ほとんど何でもありといってもいいほど多様な演出を見慣れた今日的な目からすると、この程度の変更にさほど違和感はない。むしろ、観客の解釈を誘うような意味の芽があちこちに仕掛けられていることに注意が向く。
 
 例えばワルキューレたちが集まってくる第三幕冒頭部の情景は、ベックリンの「死の島」に描かれた孤島を思わせる。これは地上の勇者たちの魂を集め天界に運ぶというワルキューレの役割とよくマッチしている。そこで観客はブリュンヒルデの行方を案じる娘たちが死体運びというグロテスクな仕事に従事しているということに、はっと思いいたるのである。
 
 シェロー演出のリングのセンセーショナルな成功はまた、ブーレーズ率いるバイロイト祝祭管の圧倒的に切れ味の優れた、重量感あふれる音楽に支えられている。ペーター・ホフマン(ジークムント)、ドナルド・マッキンタイア(ヴォータン)、グィネス・ジョーンズ(ブリュンヒルデ)あたりが、これだけ重い音を背景に一歩も引かない強靭な歌唱を聴かせているのもド迫力で、歴史的名盤というにふさわしい。



テンシュテット、「ワーグナー管弦楽曲集」
曲目
ワーグナー:
1. 歌劇「タンホイザー」〜「序曲とヴェヌスベルクの音楽」
2. 歌劇「リエンツィ」〜序曲
3. 楽劇「神々のたそがれ」〜「夜明けとジークフリートのラインへの旅」
4. 楽劇「神々のたそがれ」〜「ジークフリートの葬送行進曲」
5. 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」〜第1幕への前奏曲
6. 楽劇「ワルキューレ」〜「ワルキューレの騎行」
演奏
クラウス・テンシュテット(指揮)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
収録
1988年10月18日 東京,サントリー・ホール (ライヴ)
CDデータ:発売日: 2007/09/05
EMI TOBW-3592
 私はそういう方面には詳しくないので、ご存じの方がいらっしゃったら教えてほしいのだが、テンシュテットには旧東ドイツの中小都市の劇場のマイスターを務めた時期が長くあり、西ドイツに亡命した時にも、直後はキール市立劇場の音楽監督がポストだった。しかし今日の名声は、もっぱらマーラーやブルックナーなどの交響作品の指揮者として築かれている。オペラ指揮者としてのテンシュテットの実力は、どうだったのだろうか?
 
 そんな興味から手にしたディスクがこれ。88年に手兵ロンドン・フィルを率いた日本公演の記録だ。実演を聴いたことのない私には、風貌から棒の振り方に至るまでこの映像にはありがたい情報が満載だ。
 
 かの天才指揮者が作っていく高揚感は冒頭の「タンホイザー」から遺憾なく発揮される。やや湿りを帯びたロンドン・フィルのサウンドが徐々に紅潮していって、ヴェヌスベルクの音楽へと怒涛のように流れ込む。「ジークフリートの葬送行進曲」の緊張感に満ちた底知れぬ暗さなども、いわく言い難い魅力を放っている。テンシュテットとは関係ないが、コンマスのデイヴィット・ノーラン(現読響)が、髪を振り乱しながら若いエネルギーをまき散らしているのも興味深い。
 
 でも確かにこれはワーグナーの曲で、いかにもワーグナーらしくうねるように高まっていくけれど、演奏会形式ではどうしてもシンフォニーのように聴こえてしまう。ワーグナーの楽劇は、声楽が入り、劇場という一種独特な空間の中で演奏されると印象が一変する。ロンドン・フィルとは「ワルキューレ」第一幕をコンサート形式で上演したことがあるらしいが、テンシュテットが情熱のコンサート指揮者だという印象はそのままで、謎もやっぱり謎のままであった。



ショスタコーヴィチ「ムツェンスク群のマクベス夫人」
ヤンソンス/ ショスタコーヴィチ:歌劇「ムツェンスク郡のマクベス夫人」全曲

演出:マルティン・クシェイ 
演奏:
マリス・ヤンソンス指揮 
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
ネーデルラント・オペラ合唱団 
エファ=マリア・ウェストブロック/キャロル・ウィルソン(S) 
ラニ・ポウルソン(Ms) 
クリストファー・ヴェントリス/リュドヴィート・ルドハ/アレクサンドル・クラヴェツ(T) 
ウラジーミル・ヴァネーエフ(Br)
DVDデータ 発売日:2008/12/03/TDBA-5039
 数年前のザルツブルクの「ジョヴァンニ」でも下着や裸を出して物議を醸したクシェイの演出は、今回も下着・裸。第一幕ででっぷりと太った女料理人が男たちにもてあそばれ、ブラジャーまではぎ取られながらきんきん歌いまくる場面は、リアリズムがどうの思想がどうのという前に単に醜悪としか映らず、目をそむけ、閉口してしまった。台本が下ネタ満載なのは分かるが、レスコフもショスタコーヴィチもウィットを効かせている。演出にもガラス張りの舞台装置など読み解くべき工夫や仕掛けもあるが、頻出する裸と下着に気分がぐーんと萎えた。
 
 これだけ真正面から拒絶感がでてしまうと、わざわざ取り上げて評するのもどうかと思ったが、ヤンソンスとコンセルトヘボウが得難い輝きを放っている。世界に名だたる常設劇場でも、普段の公演となると期待外れも少なくない。この点、コンセルトヘボウはピットに入ってもやはり極上である。
 
 ヤンソンスは世界中の異なるオーケストラを使ってショスタコーヴィチの交響曲全曲を録音するという偉業を成し遂げている。その入れ込みようは通り一遍ではない。普段は振らないオペラを手掛けたのも、ショスタコーヴィチの代表作だからだろう。快調なテンポで苦み走った音楽的風刺が切れまくる。歌手の水準も全体的に高く、日本語字幕のついた映像も今のところほかにないだけに、私にとってはひたすら演出だけが難点であった。
 

江藤光紀(音楽評論)

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2009年3月31日(火)
[DVDレビュー]《ブリテン/歌劇『ピーター・グライムズ』全曲》メトロポリタン歌劇場
曲目:歌劇『ピーター・グライムズ』プロローグと3幕
作曲:ブリテン
出演:
アンソニー・ディーン・グリフィー(ピーター)、パトリシア・ラチェット(エレン)、フェリシティ・パーマー(セドリー夫人)、ジル・グローヴ(アンティー)、アンソニー・マイケル=ムーア(ボルストロード船長)、テディ・トー・ロウドズ(ネッド・キーン)、ディーン・ピーターソン(ホブソン)、ジョン・デル・カルロ(スウォロウ)、グレグ・フェッダーリー(ボブ・ボールズ)、ベルナード・フィッチ(ホラス・アダムス)、ローガン・ウィリアム・エリクソン(少年)、他
楽団:メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団
指揮:ドナルド・ラニクルズ
演出:ジョン・ドイル
収録:メトロポリタン歌劇場(ライヴ)2008年2月28日
会社:EMIミュージック・ジャパン
番号:TOBW3609~10
定価:6000円
 METの演出はいかにもグランド・オペラ風の壮大なものであるが、それでいて心理的な性格が強い作品とのバランスは見事に図られている。そして振幅の大きなラニクルズの指揮は、ダイナミックかつ精力的であり、場面転換の間奏曲が精緻でシンフォニックな響を持つ一方、荒々しい嵐の場面では強烈な迫力にあふれるなど、そのコントラストの大胆さが見事である。
 
 それに歌手陣が素晴らしい。純真でありながら屈折した心を持つピーター役に、グリフィーは正面から挑んでいるし、エレンに扮するラチェットも落ち着いた表現でこのオペラに大きな安堵感をもたらしてくれる。パーマーやマイケル=ムーアのようなヴェテランも加わったキャスティングもそれぞれの役柄を見事に演じきっている。
 
 演出も巨大な建物の壁を背景にした舞台装置のモノクロの世界は、登場人物の動きのある仕草との対比においてドラマの深層心理を抉り出すことに成功している。
 
 この作品もMETの他の新シリーズの映像と同様に、幕間にはナタリー・デセイによる出演者やスタッフに対するインタビューや舞台裏の風景などが挿入されている。いかにも実況中継風の構成は、作品についての理解を深める上で役立つことだろう。
 
 なお本DVDは日本盤であるが、英語の解説書の他に4頁の日本語解説文が挿入されているだけで、ストーリーについての記載はない。


野崎正俊(音楽評論家)

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2009年3月31日(火)
[CDレビュー]《R・シュトラウス/「アルプス交響曲」、他》シュターツカペレ・ドレスデン
曲目:
1.アルプス交響曲
2.四つの最後の歌
作曲:R・シュトラウス
独唱:アニヤ・ハルテロス(S)
楽団:シュターツカペレ・ドレスデン
指揮:ファビオ・ルイージ
録音:2007年5月21〜23日 ドレスデン、ルカ教会
会社:ソニー・クラシカル
番号:SICC10079
定価:2940円
 歴代シュターツカペレ・ドレスデンの音楽監督(首席指揮者)はR・シュトラウスの作品をレコーディングするのが慣わしになっているが、それほどこのオーケストラとR・シュトラウスとは密接な関係にある。2007年から首席指揮者を務めるルイージが率いるドレスデン・シュターツカペレの来日にあわせてR・シュトラウスのCD2点がまとめて発売された。これはその中の1点である。
  
 さすがにドレスデンの豊饒な響きにはどこか懐かしささえあるが、ルイージは新しい世代の指揮者にふさわしく、伝統だけに寄りかからない新しい感覚を持った演奏に仕上げている。「アルプス交響曲」も楽曲をしっかりと把握した構成力にそのすぐれた手腕が発揮されているし、全体としてきわめてバランスのとれた明快な演奏である。
 
 一方「四つの最後の歌」でのハルテロスの歌にはたっぷりとした情感が込められている。


野崎正俊(音楽評論家)

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2009年3月30日(月)
[DVD新譜紹介] 鮮明な映像の「後宮」
作品:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト/歌劇「後宮からの逃走」全曲
演奏:
コンスタンティノス・カリディス指揮
オランダ室内管弦楽団
ローラ・アイキン(コンスタンツェ S)
エドガラスモントヴィダス(ベルモント T)
クルト・リドル(オスミン Bs)
モイカ・エルドマン(ブロンテ S)
マイケル・スモールウッド(ペドリッロ T)
ステフェン・ファン・ワーテルモイレン(語り)
演出:ヨハン・シモンズ
装置:ベルト・ノイマン
衣装:ニナ・ファン・メショウ
照明:ローター・バウムガルテ
録画:2008年2月2、19、26日 アムステルダム音楽劇場
番号:OpusArte  OA 1003D
定価:オープン価格
発売:クリエイティヴ・コア株式会社
 このところ続々映像が発売されているオランダのアムステルダム音楽劇場でのライヴ。出演者はリドル以外あまり知られていない名前だが、例えばアイキンはザルツブルク音楽祭でも同じ役を歌って成功しているように実力者が揃っている。役柄に合った歌と演技で全体がまとまっているのはこの歌劇場のレベルの高さを物語る以外の何物でもない。オーケストラもロイヤル・コンセルトへボウ、ロッテルダム・フィル、ネーデルランド・フィルが交代でピットに入り、指揮者、演出家も演目で違う組織とは思えない。
 
 ギリシャ生まれのカリディスが軽快なテンポでジングシュピーゲルを演奏している。鮮烈な音楽が随所に感じられ、歌手達も役に合った歌でそれに答えている。
 演出のシモンズはアムステルダム以外パリ、ウィーン、ミュンヘンで活躍中で、この舞台でもいまはやりの過激さのない、穏当なもの。アラブ色の混じった舞台で異国情緒豊かなジングシュピールが楽しめる映像である。最新技術を用いた撮影で、これまでない鮮明さには目を奪われる。


岩崎和夫(音楽ライター)

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2009年3月30日(月)
[CD新譜紹介] 済んだ響きのバッハ演奏
作品:J・S・バッハ/ミサ曲ロ短調BWV232
演奏:
マルク・ミンコフスキ指揮
ルーヴル宮音楽隊
ルーシー・クロウ、ジョアンヌ・ラン(S)
ナタリー・シュトゥッツマン、テリー・ウェイ(A)
コリン・バルザー、マークス・ブルッチャー(T)
クリスティアン・イムラー、ルカ・ティトート(Bs)
録音:2008年7月 サンチャゴ Via Stellae音楽祭ライヴ
番号:Naive  V5145
定価:¥オープン価格
 近年バッハの合唱曲を少人数で歌うケースが多くなってきた。古くリフキンが1982年に
録音していたがその後は途絶えてしまった。ソロ歌手を起用せず合唱団員がソロ・パートを歌いバッハの音楽を清澄な響きで再現したこのCDを耳にするとこれまでのような大きな編成の物にない感動が体験できる。ヴァイオリン8、ヴィオラ2、チェロ2、コントラバス1、フルート2、オーボエ3、ファゴット2、ホルン1、トランペット3、ティンパニ1、オルガン1の編成で演奏される名曲「ロ短調ミサ」の違った魅力を味わうにはもってこいの例。
 
 リヒターが20世紀にバッハ演奏上に一大革命を起こしてからはや半世紀が経過、マクリーシュ、ミンコフスキなど従来の演奏を一新する画期的な演奏家が次々に登場してきたことは、版の研究の成果とともに高く評価していいことであろう。


岩崎和夫(音楽ライター)

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2009年3月30日(月)
[CD新譜紹介] フォルテピアノによる交響曲演奏
作品:
ベートーヴェン=L・ウィンクラー編
1)弦楽四重奏曲第1番ヘ長調
ベートーヴェン=リスト編
2)交響曲第1番ハ長調Op21
3)交響曲第2番ニ長調Op36
演奏:大井浩明(フォルテピアノ)
録音:2008年
番号:MOCP-10006
定価:\2940
販売:(株)キングインターナショナル
 1846年にウィーンで作られたヨハン・バプティスト・シュトライヒャー製フォルテピアノの複製を弾いた交響曲2曲(リスト編)による演奏と弦楽四重奏曲のL・ウィンクラー編の演奏。 大井はベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲を幾つかの異なるフォルテピアノを弾いて録音し既に第9番ホ長調、第10番ト長調、第11番変ロ長調(MOCP-1004)、第12番変イ長調,第13番変ホ長調、第14番嬰ハ短調(MOCP-1005)の2枚が発売されている。
 
 交響曲のピアノ版の演奏はこれまでもいくつかあった。しかしフォルテピアノによる演奏となると珍しい。フォルテピアノの響きのきわめて少ない録音で聴くソナタ、交響曲は日頃聴きなれた耳にはかなり違和感を感じる。現代のピアノの豊かな響きに慣れた耳には仕方ない。
 
 それでも敢えてベートーヴェンが作曲した当時の複製モデルのピアノフォルテへの大井のこだわりは評価してよい。惜しむらくは響きが硬いこと。フォルテピアノのピアノにない繊細なアーティキュレーションがもっと出れば現代ピアノとは違う味が楽しめるだろう。今後録音を重ねることによって改善を望みたい。


岩崎和夫(音楽ライター)

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