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[クラシック・ニュース 2016/7/12〜 2016/7/18]
2016年7月15日(土)
東京音楽通信〔199〕 2016年6月
充実のベートーヴェン

サントリーホール・チェンバー・ミュージック・ガーデン クァルテット・エクセルシオ ベートーヴェン・サイクル2 ―― 今年はサントリーホール開館30周年ということで、初夏恒例のこのイヴェントも一週間会期延長、充実のプログラムが組まれています。その中心となるのがクァルテット・エクセルシオによるベートーヴェンの弦楽四重奏全曲演奏。これまでチェンバー・ガーデンでは様々な団体がこのサイクルに挑戦していますが、今年は満を持して国内団体の登場です。その2日目の模様(6月9日、サントリーホール・ブルーローズ)。

プログラミングも練られていて、まず初期の作品18から第5番。からっと清潔感のある仕上がりで、メヌエット(第二楽章)中間部のリズムの鮮やかな変化や、第三楽章の各変奏のコントラストなどは手慣れたものです。

続いて中期から後期への移行期に作曲された「ハープ」。こちらはたっぷりと弓を使って豊かに共鳴するテクスチュアを織りあげ、奏法の上でも初期と違うアプローチでした。ラズモフスキーの経験を経たベートーヴェンが、弦楽四重奏の表現空間をぐっと押し広げていることが分かります。細かいところまで丁寧に作り込むところに、日本の団体のお家芸的なものを感じます。第一楽章末尾の第一ヴァイオリンのオブリガートなど、キレがあって実にかっこいい。

後半は13番と、その終楽章として書かれ、後に独立した「大フーガ」。後期群は作品の構造だけでなく、演奏技術上も相当難度が高いことを実感します。ポジションのつかみや難しい移弦が続出し、苦戦気味の箇所も。しかしこれだけの長丁場を経てから、「大フーガ」で、さらなるエネルギーを放出し続けたあたりに、充実の時を迎えているエクセルシオの“いま”が表れていたように感じました。2時間40分、お疲れさま。



ヘドニストの顛末

黛敏郎個展 涅槃交響曲へ至る道 ―― 前号で下野&新日本フィルによる涅槃交響曲の模様をお伝えしましたが、ちょうどいいタイミングで若き黛の室内楽作品の演奏会があったので、行ってきました(6月10日、東京オペラシティリサイタルホール)。

前後半の最初に短い電子音楽(「オリンピック・カンパノロジー」「0系新幹線車内メロディ」)が配してあります。その後に並んだ40年代から50年代の作品群は、第一級の才人だった黛が、感性のアンテナを頼りに自らのアイデンティティを探っていく旅路のように感じられました。

48年作の歌曲「エレジー」は日本風の旋律とフランス近代のピアノがドッキングしている。ピアノ独奏曲として知られる「オール・デゥーブル」(47年作曲)は、初演当初ドラムスがついていたそうで、これが入るとジャズ・バンドのテイストそのまんま。50年の「スフェノグラム」では、今度はジャワ、インドといったアジアン・テイストがモダン・ヨーロピアンとドッキング。

後半の「六重奏曲」(55年)は同年に作曲された「トーンプレロマス55」の姉妹作ともいうべき作品で、ヴァレーズ風の音響空間が特徴。理念に引っ張られてちょっと無理している感じもするけれど、その実験は確実に「涅槃」に流れ込んでいるとも思う。

最後に演奏されたのは、黛の出世作として知られる「十楽器のための喜遊曲」(48年)。昔この曲を初めて聴いた時、彼の代表作とはあまりにかけ離れたこじゃれた雰囲気に違和感しか覚えなかった。しかし今なら、黛の出発点にこういう曲があるということがよく分かります。この人は基本的に、皮膚感覚で生きる快楽主義者なんだと思う。受容器官が反応すれば、それは黛流に即座に変換され作品となる。

けれどそういうトリックスター的なあり方に、一番よるべなさを感じていたのもまた、黛自身だったのではないか。その後、彼は伝統に引き寄せられていったけれど、伝統に近づけば近づくほど、最大の武器であったヘドニスティックな皮膚感覚は鈍化する。今回の個展は、戦後第一世代として登場した黛がトリックスターとして(たぶん無意識に)背負わざるを得なかった時代性を浮き彫りにしていたように思いました。

要所に実力者を配した演奏陣(水戸博之指揮オーケストラ・トリプティーク)は、役割を不足なく果たしていたと思います。CD化されるそうですから、興味のある人はそちらでも確認してください。



ちょうどいい劇場

ニッセイオペラ2016 ロッシーニ「セビリアの理髪師」 ―― 良質な公演を提供しているニッセイオペラ、今年は「セビリア」でスタートです。キャストも若手とヴェテランの案配がいい(6月19日、日生劇場)。

フィガロの江上隼人、ロジーナの中島郁子は、さすがの実力派。たっぷりとした声量で、この曲の高速パルランドもキレよくこなす。バルトロのヴェテラン久保田真澄も含め、全体によくまとまっていました。指揮の園田隆一郎は手堅いリードで、即興テイストはなかったけれど、アンサンブルをまとめるという点で効果的だった(管弦楽・新日フィル)。

うーん、なのがアルマヴィーヴァの山本康寛。美声だけれど、こうした人たちと並ぶと何かが足りない。技巧的な箇所で音程をしっかり取ろうとすると歌が痩せる。逆に張り上げると不安定になる。海外での経験の長い他のキャストと比べ、身振りもまだ借り物の感じがする。まだ若いので、今後の成長に期待。

日生はこういう密度の濃いアンサンブルを楽しむにはちょうどいいし、内装も筆者は好きです。粟国淳の演出は劇場の特性をよく押さえていました。街路と屋内の転換に回転式の舞台装置を使うのは「セビリア」ではよくみられるけれど、そうした仕掛けに加えて、町並みや幕の書割を使って一つの空間を重層的に見せる工夫があって、それほど大掛かりな装置ではないけれど飽きなかった。

ニッセイオペラ2016 ロッシーニ「セビリアの理髪師」 ニッセイオペラ2016 ロッシーニ「セビリアの理髪師」
ニッセイオペラ2016 ロッシーニ「セビリアの理髪師」 ニッセイオペラ2016 ロッシーニ「セビリアの理髪師」
ニッセイオペラ2016 ロッシーニ「セビリアの理髪師」 ニッセイオペラ2016 ロッシーニ「セビリアの理髪師」
写真提供:日生劇場 撮影:三枝近志


才人マーツァート

調布市音楽祭2016 生誕260年 モーツァルト・ガラ・コンサート 再現1783年ウィーン・ブルク劇場公演 ―― モーツァルトやベートーヴェンの時代の公開演奏会は、今では考えられないくらい盛りだくさんですよね。この日のコンサートは、シンフォニーあり、コンチェルトあり、コンサート・アリアあり、230年前にモーツァルトが企画したフルコース・メニューをそのまま再現するというユニークなもの。指揮進行は才人・鈴木優人(まさと)。全12曲、二回の休憩を入れて3時間10分のコンサートでしたが、趣旨が面白いだけでなく演奏も良質で、なんとも楽しい気分になって家路につきました(6月25日、調布市文化会館たづくり)。

鈴木の率いるアンサンブル・ジェネシスは古楽器を使いサウンドもドライなんだけれど、アレグロ楽章では颯爽としたスピード感がたまらない。「ポストホルン」の木訥な木管にも癒される。独奏・独唱陣では「ルーチョ・シッラ」のアリアを歌った臼木あいは技巧・表現力ともに別格だったけれど、他にもいろいろと発見が。小倉貴久子のフォルテピアノは躍動感があり、ピアノ協奏曲13番は装飾的な動きがアラベスク文様のように小気味よく描き出されていく。ソプラノの高橋維(我が憧れの希望よ…あぁ、汝は知らずいかなる苦しみの)は細かい音符もしっかりと聴かせつつ、歌詞の内容もきちんとアピール。

それにしても、軽妙なトークに始まり、リズム感のある進行、アリアの感情が高ぶるところでぐぐっと音を入れ込んでいくリードなど、鈴木マーツァート様の才能に「現代のモーツァルト」の称号を差し上げたい!

調布市音楽祭2016 生誕260年 モーツァルト・ガラ・コンサート 再現1783年ウィーン・ブルク劇場公演 調布市音楽祭2016 生誕260年 モーツァルト・ガラ・コンサート 再現1783年ウィーン・ブルク劇場公演
調布市音楽祭2016 生誕260年 モーツァルト・ガラ・コンサート 再現1783年ウィーン・ブルク劇場公演 調布市音楽祭2016 生誕260年 モーツァルト・ガラ・コンサート 再現1783年ウィーン・ブルク劇場公演
 


韓国の地方オーケストラ

韓国 光州市立交響楽団創立40周年記念 日本公演 ―― 筆者は韓国のオケというとソウル・フィルくらいしか聴いたことがないけれど、近年はアジア間の交流もずいぶんさかんになっています。南西部の町・光州は民主化運動の町というくらいの知識しかなかったのですが、本サイト掲載の指揮者・金洪才インタビューを聴くと、地方オケとしてはかなり早くに設立されたようで、今回は創立40周年での来日。金さんは00年代以降、東京では名前をみかけなくなったと思ったら、拠点を韓国に移されていたんですね。(6月30日、東京芸術劇場)。

チェ・ソンファン「アリラン幻想曲」。アリランの主題がたっぷりと、色彩豊かに歌われます。リズミカルな部分はよく弾んでいたし、この日の演目の中では一番まとまりがあった。

ジュネーヴ国際、ブゾーニ国際、高松国際などを次々に制覇しているムン・ジヨンのソロでラフマニノフ「ピアノ協奏曲第二番」。ムンのピアノはぱりっと明快に鳴り、テクニックもしっかりしている。確かに大きな才能ですが、オケとの対話があまりなく、曲が進むと退屈に。

チャイコフスキー「交響曲第四番」。第一楽章の複雑なリズムの分割・読み変え箇所など、冷や汗もののところもありましたが、トゥッティが色彩的なのが魅力だし、団員が生き生きと、元気に弾いている姿が印象的でした。

韓国 光州市立交響楽団創立40周年記念 日本公演  
 
江藤光紀 (音楽評論)

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2016年7月14(金)
【大阪発】大阪フィル第500回定期 首席指揮者:井上道義「ミサ・タンゴ」 と「英雄」で!
指揮:井上道義
指揮:井上道義
(C)Mieko Urisaka

歴史ある大阪フィルハーモニー交響楽団は第500回の定期演奏会を迎える。
井上道義が首席指揮者に就任して以来、レパートリーにラテン音楽とオーケストラの基本である古典派作品を組み合わせに積極的に取り組んできた。 (注:「ラテン」、「コテン」)

バカロフ:ミサ・タンゴはラテン音楽の中にミサを取り入れる手法で作曲した話題作である。彼はアルゼンチン生まれでイタリアで活躍する作曲家。それにベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」を対置するという意欲的な取り組みである。

井上道義のこの定期に対するメッセージ!
https://www.youtube.com/watch?v=MC7Eq5eIx4k&feature=youtu.be

大阪フィルハーモニー交響楽団
http://www.osaka-phil.com/


コンサート情報
《大阪フィルハーモニー交響楽団 第500回定期演奏会》

《大阪フィルハーモニー交響楽団 第500回定期演奏会》
2016年7月21日(木)19時 フェスティバルホール
2016年7月22日(金)19時 フェスティバルホール

指揮:井上道義

独唱
サンドラ・フェランデス(メゾ・ソプラノ)
ガスパール・コロン(バリトン)

独奏:三浦一馬(バンドネオン)
合唱:大阪フィルハーモニー合唱団

曲目

  • バカロフ:ミサ・タンゴ
  • ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調「英雄」作品55

料金(全席指定) A席:6,000円 B席:5,000円 C席:4,000円 学生席(3階席):1,000円 BOX席:7,000円

大阪フィル・チケットセンター:06—6656—4890 
フェスティバルホール チケットセンター:06-6231-2221
チケットぴあ:0570—02—9999【Pコード:283-235】
イープラス

お問合せ:06-6656-4890
大阪フィルハーモニー交響楽団
チラシ(PDF/317KB)
※こちらの]PDFを印刷し、チラシとしてお使いいただけます。

◆試聴:バカロフ・ミサタンゴ  ナクソス・ミュージック・ライブラリー (NML)
http://ml.naxos.jp/album/00028946347126

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