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[クラシック・ニュース 2016/7/26〜 2016/8/1]
2016年7月30日(土)
METライブビューイング 2015〜16上映作品観賞記 その1

METライブビューイングが上映開始10周年を迎えた2015〜16シーズンも6月上旬の《エレクトラ》で記念のシーズンを締めくくったが、
見逃した方のためのアンコール上映が、東劇 8月6日ー9月23日を皮切りに、関西でも なんばパークスシネマ 8月27日ー9月23日
109シネマズHAT神戸 8月27日ー9月16日の日程でスタートする。

オペラ・ファンにはお馴染みの《トロヴァトーレ》や《蝶々夫人》、名匠ゼッフィレッリの名舞台《トゥーランドット》、O.シェンクによる《タンホイザー》など見ごたえ充分の10作品が2015-16シーズンのアンコールとして、この他過去に上映された名舞台16作品が加わる充実のラインナップです。

ここでは、2015-16シーズンに上映された10作品をアンコール上映順に、2回にわたってご紹介しましょう。

ヴェルディ:《イル・トロヴァトーレ》

流麗な旋律が湧き上がるように続くヴェルディ中期の傑作。レオノーラに世界の歌姫 A.ネトレプコが本役初挑戦だったが第3幕のアリア「恋はバラ色の翼に乗って」は入魂の歌唱で観客を釘付けにした。ルーナ伯爵にスター・バリトンD.ホヴォロストフスキーも第2幕のアリア「君がほほえみ」は心に残る名唱だ。マンリーコに韓国生まれの注目株ヨンフン・リー、アズチェーナにメトの顔D.ザジックと豪華な顔ぶれのシーズン開幕作品。

演出は、スコットランド生まれの D.マクヴィカー。2009年メト・デヴューのプロダクションで正統的な舞台作り、回転舞台を駆使 して場面転換もスムーズで群衆の扱いも巧みで的確。

イタリア物の広いレパートリーの中でもヴェルディには定評のあるアルミリアートの指揮ぶりは、流麗な旋律線をくっきり描き出して、終幕に向けて感興の高まりはひときわ素晴らしい。



ヴェルディ:《オテロ》 新演出

錯綜する心理の彩までも描き出すヴェルディ晩年の傑作。主役オテロには堂々とした体躯から繰り出す力強く、ドラマティックな歌唱のアントネンコと若く清楚なリリック・ソプラノ、ヨンチェーヴァの組み合わせが曲の魅力をぞんぶんに引き出し、これに悪者ぶりが素晴らしいルチッチのイアーゴが絡むという、まさに適材適所と言うべき万全のキャスト。

これら歌手陣の素晴らしさを支える指揮のネゼ=セガンは、今もっとも乗っている一人で、細部への気配りと歯切れよくスケールの大きな表現は、オペラだけでなくコンサートでも高い評価を受けている逸材であることが実感できる。

演出の B.シャーは、《南太平洋》《王様と私》などのミュージカル、METでは《セヴィリャの理髪師》《ホフマン物語》などで高い評価を受けてきたが、ここでも強引な読み替えなどもなく、落ち着いた色彩を基調とした成熟した舞台を創りあげている。



ビゼー:《真珠採り》 新演出

有名なロマンス「耳に残るは君の歌声」はじめ多くの名曲、エキゾティシズムに彩られた作品だが、METとしては100年ぶりの上演で
ダムラウ、ポレンザーニ、クヴィエチェンの主役3人が歌唱、演技、容姿ともに理想的なキャストで、第1幕のナディールのロマンスや、第2幕レイラのアリア「かつての日、暗い夜に」など深く心に沁みいる名唱を聴かせてくれる。

ノセダのタクトもドラマティックな力強さと旋律線の美しさを的確に引き出し、冗長になりやすい曲から引き締まったドラマを紡ぎだして堪能させてくれる。

演出のウールコックは、TVや映画でマルチな活動をした女流だが、主軸は伝統的な手法に置きながら、時にはハーネスを駆使した空
中遊泳で海中を泳ぎ回る真珠とりを再現したりする動きなども採りいれて、多彩な舞台を見せてくれる。


プッチーニ:《トゥーランドット》

名匠ゼッフィレッリ演出による豪華絢爛、圧倒的スケールの舞台。登場する人物の数も並ではないが、個々の人物に与える動きの巧
みな手腕にも脱帽するしかない。METでは1987年から使われている伝説的な名プロダクションで、何度見ても感動させられる。

キャストには、METではお馴染みになったドラマティック・ソプラノ、N.ステンメのトゥーランドット姫、先シーズン《カルメン》でみずみずしいミカエラを演じたA.ハーティッグのリュー、ちょっと太めだがドラマティックな歌唱で魅了するM.ベルティのカラフらが高水準の演奏を聴かせる。なかでもハーティッグのリューは、真に迫るリアリティを感じさせる演技力で忘れがたい印象を残した。

音楽面では、世界の歌劇場をまたにかけて活躍するカリニャーニの指揮ぶりも見落とせない。力んだところもなく練達の境地で、終幕の高揚感に溢れた盛り上がりも見事というほかない。


ドニゼッティ:《ロベルト・デヴェリュー》 新演出

すでにこのシリーズで上演済みの《アンナ・ボレーナ》《マリア・ストゥアルダ》に続くチューダー朝三部作の掉尾を飾る作品。老女王を演じるラドヴァノフスキーの緊張感に満ちた歌唱と役に没入する存在感はドラマ全体を引き締めて、今作の大きな柱になっている。共演するソリストでは、サラ役のガランチャ、ロベルト役のポレンザーニ、ノッティンガム侯爵役のクヴィエチェンが揃っていずれ劣らぬ潤いのある美声を聞かせて声の饗宴を堪能できる。

ベニーニの指揮も要所要所を引き締めて、暗く重いオペラの随所に顔を出すドニゼッティ一流の旋律美を引き出して、上演回数の少
ない本作の魅力を伝えてくれる。

三部作の前2作につづき今作の演出も D.マクヴィカーが担当し、色彩は黒と金を主体にした重厚な舞台で、複雑に絡んだ心理面も緻
密に織り込まれて、時代考証のしっかりした完成されたものになっている。

牟田敬二 (音楽評論)

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2016年7月28(木)
CD紹介:《ワーグナー&ヴェルディ》ニルソン&チェリビダッケ
《ワーグナー&ヴェルディ》ニルソン&チェリビダッケ《ワーグナー&ヴェルディ》ニルソン&チェリビダッケ

曲目

  1. 1.ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』〜前奏曲と「愛の死」
  2. ワーグナー(モットル編):『ヴェーゼンドンク歌曲集』〜「天使」、「悩み」、「夢」
  3. ヴェルディ:歌劇『マクベス』〜「日の光が薄らいで」
  4. ヴェルティ:歌劇『仮面舞踏会』〜「ここは恐ろしい場所」
  5. ヴェルディ:『運命の力』〜「神よ、平和を与えたまえ」

独唱 ビルギット・ニルソン(S)
楽団 スウェーデン放送交響楽団
指揮 セルジュ・チェリビダッケ

録音 ストックホルム・コンサートホール(ライヴ) 1967年9月8日(1,2) 1968年9月1日(3,4,5)
会社 Weitblick
番号 SSS0186-2
定価 オープン価格(輸入盤) 

ニルソンがチェリビダッケと共演した珍しい演奏が初CD 化された。二回の演奏会から編集されている。オーケストラはベルリン・フィル退任後の放浪時代にしばしば指揮をしていたスウェーデン放送響である。ニルソンとの共演も彼女がスウェーデン出身ということと関係があるに違いない。

チェリビダッケは晩年になるにつれてテンポが異常に遅くなったが、ここではそのようなことはない。しかし「トリスタン」ではじっくりとしたテンポでワーグナーの独特の和音を克明なまでに表現しようとしていることはよく分かる。それはニルソンの歌が加わる「愛の死」になるといっそうの精妙さを加え、それは管楽器のデリケートな扱いに示されている。

「ヴェーゼンドンク歌曲集」はもちろんニルソンの歌が主役ではあるが、チェリビダッケは単なる伴奏にとどまることはなく、バックのオーケストラのロマン的な色彩感を大切にしている。それはことに「夢」での消え入るような終始に象徴されている。

一方ヴェルディはちょっとチェリビダッケとは結びつかないレパートリーであるが、もちろんニルソンはこれらの役を持ち役にしており、ニルソンの強靭な声はさすがに迫力がある。そしてチェリビダッケはオペラティックな躍動感とは異なって多分にクールに音楽を扱っているが、そのいかにも器楽的で醒めた表情が面白い。

なお最後に「トリスタン」のリハーサル風景(ドイツ語)が収められている。

野崎正俊(音楽評論家)

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2016年7月26(火)
DVD紹介: 《マリス・ヤンソンス・コンダクツ》バイエルン放送響
《マリス・ヤンソンス・コンダクツ》バイエルン放送響《マリス・ヤンソンス・コンダクツ》バイエルン放送響

曲目

  1. ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調Op.37
  2. バッハ:『フランス組曲』第5番ト長調BWV. 816〜サラバンド
  3. R・シュトラウス:交響詩『英雄の生涯』Op.40

独奏:内田光子(P)(1,2)
楽団:バイエルン放送交響楽団

指揮:マリス・ヤンソンス

収録:2011年5月(ライヴ) ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク
会社:Arthaus
番号:101683
定価:オープン価格(輸入盤)

いかにもドイツ音楽の本流を行く作品が収められている。ベートーヴェンのピアノ協奏曲は厚みのある堂々とした演奏であるが、ことさら大きく構えたところはない。そのようなヤンソンスの緻密な音楽作りの中にあって、内田光子も抑制の効いたピアノを聴かせている。とはいえ決して音楽が小じんまりとまとまることはなく、第1楽章ではカデンツァに入ってからコーダに向かってのエネルギッシュな演奏はやはりベートーヴェンの音楽である。第3楽章のロンドもダイナミックな躍動感にあふれている。 

それにしてもこのDVDの聴きものはやはり『英雄の生涯』の方である。バイエルン放送響の音は豊かな低音に加えて音色に温かみがあり、いわゆるバイエルン・サウンドというべきで、それがシュトラウスの音楽に豊かなロマンティックな色付けを施している。ヤンソンスはそのようなオーケストラの上に立って、緻密なアプローチによって確固たる音楽を作り上げる。すっきりとしていながら確かな手応えを感じさせる充実した演奏である。

野崎正俊(音楽評論家)

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