クラシックニュースへようこそ please visit our sponser
インタビュー@クラシック
Contents
クラシックニュースへようこそ
| 最新ニュース | 次に新しいニュース | さらに古いニュース | ヘッドライン一覧 |
[クラシック・ニュース 2016/8/2〜 2016/8/8]
2016年8月4日(木)
METライブ・ビューイング2015-16上映作品観賞記 その2

METライブビューイング2015-16シーズンに上映された10作品中、その1でご紹介していない残り5作品を東劇での上映順にご紹介しましょう。アンコール上映後半もMETの大黒柱レヴァインの指揮する《タンホイザー》、世紀末を退廃的に生きる女、ルルの物語に、ウィーンの作曲家ベルクが付曲した20世紀の傑作《ルル》、美貌のプッチーニ歌いオポライスとスター・テノール、アラーニャの顔合わせによる《蝶々夫人》など魅力的な演目が並んでいます。

ワーグナー:《タンホイザー》

いつもながら、御大レヴァインが指揮台に立つとオーケストラの意気込みからして違う。序曲の入りから細部に至るまでニュアンス、デュナミーク、旋律の歌い方等々、すべてが一級品の輝きを放つ。

歌い手では、タンホイザー役を永年温めてきて、自分の成熟を待って役に臨んだというボータ、演技力も兼ね備えたドラマティック・ソプラノ、ヴェストブルック、妖艶で魅惑的なヴェーヌス役のデ・ヤング、力強さと美声を誇るマッテイといずれ劣らぬキャスティングで、口をはさむ余地がない。2幕の「すばらしき殿堂」はじめ合唱団の上手さも印象に残った。

演出は、20世紀後半のウィーンを代表するオットー・シェンクによるもので、落ち着いた色調、温かみと美しさを併せ持つ重厚な舞台は、何とも言えない安定感・魅力があって、ヨーロッパのみならずMETでも永く使われているのもうなづける。



プッチーニ:《マノン・レスコー》 新演出

マノン役のオポライスが潤いのある美声と美しい容姿を兼ね備えたうってつけの役どころで、観客の心をつかみ、相手役には、当初カウフマンが予定されていたが体調不良で降板し、代役に立った人気テノール、アラーニャが2週間ほどの期間で初役に挑戦し、見事な舞台を見せてくれた。

演出は、シェイクスピア作品をはじめ、ミュージカル、TVの演出まで手掛ける多才な R.エアによるもので、原作の18世紀後半から時代を1941年ドイツ占領下のフランスに移しているが、大きな違和感はなく、第二次世界大戦の始まった時代の雰囲気が再現されている。第3幕などリアリティのある美しい造形の舞台で印象に残っている。

指揮者には、METのイタリアもの上演には欠くことのできない存在になっているルイージが、METのオーケストラから流麗かつ歯切れのよいドラマティックな演奏を引き出し、3幕への間奏曲もヴァイオリンやチェロによる印象的なソロを伴う、美しく格調の高い演奏を披露している。



プッチーニ:《蝶々夫人》

今シーズン《マノン・レスコー》でも、美声と優れた容姿で強いインパクトを与えたオポライスが、円熟味を増したアラーニャとの顔合わせで、1幕幕切れの二重唱でも息の合ったところを聞かせ、シャープレス、スズキも10年前のこのプロダクションで共演したクロフト、ジフチャックが、より深みを増した助演ぶりでドラマを盛り上げた。

演出は、イギリスの映画監督、演出家ミンゲラが亡くなる2年前、2006年にMETのシーズン開幕公演として制作したプロダクションの10年ぶりの再演だが、文楽の人形や黒子、障子などを使い、青山演出にもインスパイアされたような和モダンともいうべき舞台で、 心理面でも観客にとってより納得のいくものになっている。

ロンドン生まれでウィーンやベルリンなどでも活躍している指揮者シションは、METでは、これがデビュー作となる。曲想に合わせてよく練り上げられコントロールされた上手さとともに、時に凄みともいえる切れ味をみせてくれた。


ベルク:《ルル》 新演出

自由奔放に生きた女、ルルの生きざまを無機的な音調を持つ12音技法を用いて描いた20世紀オペラの傑作。現代人の持つ多面性や社会的な暗闇が幾重にも重なり、現代社会の底辺にうごめく世相を想起させるテーマをも内包した作品。

主役ルルを演じるペーターセンは、全篇通して歌い続け、それもフォルテが随所に顔を出す過酷な役どころだが、広いレパートリー をこなし、強靭な声、歌唱テクニック、演技力を兼ね備えたソプラノで、この難役をこなせる数少ない逸材。世界的な高い評価を受けながら、ルル役は今回が最後になるという。それだけにこの上演は貴重な機会と言えそうだ。共演するシェーン博士役、ロイターのドラマティックな歌唱やシゴルヒ役、グルントヘーバーの味わい深い演技もこの上演を価値あるものにしている。

演出のケントリッジは南アフリカ生まれの現代美術家だけに、ルルの衣裳をはじめ、舞台はハイ・センスのアートに溢れている。また投影画像を駆使して、舞台全体がひとつのアート作品になってもいる。オランダでの上演はあるが、MET初演。

指揮者ケーニクスは、ヨーロッパの一流歌劇場でドイツ系の作品を中心に活躍し、《ルル》は十八番の一つ。12音技法を確立した新ウィーン楽派の一角、ベルク作品特有の抒情性、人間的温かみをうまく引き出しているし、同時にMETのオーケストラの上手さも言い添えなければならないでしょう。


R.シュトラウス:《エレクトラ》 新演出

文豪ホフマンスタールの手になるギリシャ悲劇。二人の女性主役クリテムネストラ、エレクトラと弟のオレストが、死の臭いのする究極の心理状態のなかで突き進んでいく復讐劇。

ソリストでは、R.シュトラウスやワーグナー作品に欠かすことのできないステンメが、体当たりの歌唱、演技で魅了する。クリテムネストラ役のマイヤーも妖艶かつ巧みな表現力で見事な敵役を演じ、深々として温かみのある声で近年頭角を現してきたオーウェンズが、いい仕事をしている。

演出は、1976年バイロイトの《ニーベルングの指環》での斬新な演出が今も語り草になっているシェローの遺作となった作品で、余分なものを削ぎ落とし、単純化された舞台、暗く陰鬱な照明の下で、観客の目は、いやが上にも主役たちの一挙手一投足に注がれる巧みさは、この人ならではのものと言っていいでしょう。

サロネンの指揮するオーケストラは終始咆哮し、《ばらの騎士》の流麗なワルツや《サロメ》の妖艶なアリアとも無縁の耳をつんざくような激しさをもって、また時に精妙、精緻な演奏でオーケストレイションの天才、シュトラウス作品の魅力を伝えてくれた。

牟田敬二 (音楽評論)

ペー ジトップへ ▲

2016年8月3(水)
静岡交響楽団第67回定期演奏会を迎えて、地元密着のオーケストラとして活動を!  「インタビュー@クラシック」で常任指揮者:篠崎靖男、ピアノ独奏:坂本真由美!
指揮者:篠崎靖男
指揮者:篠崎靖男
©Benjamin Ealovega
ピアノ:坂本真由美
ピアノ:坂本真由美

静岡交響楽団は2008年にプロの常設オケとして本格的な活動を始めた。長年の夢が実現したのは日本オーケストラ連盟の準会員として、加盟が許されたことだ。

2016年9月4日(日)にマリナートホールで第67回定期演奏会を開く。常任指揮者の篠崎 靖男とグリーグ国際ピアノコンクールで第1位の坂本真由美をソリストに迎えてのコンサートである。(※9月4日はグリーグの命日)

「インタビュー@クラシック」で指揮の篠崎 靖男、ソリストの坂本真由美がこのコンサートにあたり、その取り組みなどの抱負を語る。


「インタ ビュー @クラシック」
http://classicnews.jp/interview/index1100.html

指揮の篠崎靖男は曲の聴きどころや、地元密着のオケとして静響アンサンブルを市内各所で「まちかどコンサート」を開いたり、ベートーヴェンシリーズなどの取り組に意欲を見せる。

一方ピアノの坂本真由美はグリーグ国際ピアノコンクールの様子や、ケルン国際音楽コンクール第一位でドイツでケルン放送響とのモーツァルトのピアノ協奏曲のリリースの話題などが出た。10月2日には鳴門市文化会館の徳島交響楽団との共演に話が及ぶ。


コンサート情報
《静岡交響楽団 第67回 定期演奏会》〜華麗なオーケストラ・サウンド〜

《静岡交響楽団 第67回 定期演奏会》
2016年9月4日(日)14時 マリナートホール(静岡市清水文化会館)
第67回 定期演奏会 〜華麗なオーケストラ・サウンド〜

  • グリーグ:「ペール・ギュント」第1組曲
  • グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
  • チャイコフスキー:交響曲 第4番 ヘ短調 作品36

指揮:篠崎靖男
ピアノ:坂本真由美

入場料:A席4,500円 B席3,500円(学生1,500円)
チラシ(PDF/874KB)
※こちらのPDFを印刷し、チラシとしてご利用いただけます。

お問い合わせ:054—203-6578
静岡交響楽団
http://www.shizukyo.or.jp/index.html

CD情報
《モーツァルト ピアノ協奏曲 第20番・21番》

《モーツァルト ピアノ協奏曲 第20番・21番》

ピアノ:坂本真由美

共演:WDRケルン放送管弦楽団
指揮:ニクラス・ウィレン

録音:西ドイツ放送(WDR)
価格:3,000円
銀座ヤマハ、タワーレコード、HMV、ディスクユニオン、Amazonなどで購入可能。

ペー ジトップへ ▲

| 最新ニュース | 次に新しいニュース | さらに古いニュース | ヘッドライン一覧 |