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[クラシック・ニュース 2016/8/30〜 2016/9/5]
2016年9月1日(木)
東京音楽通信〔201〕2016年8月  海外情報 バイロイト音楽祭(その1)

奇抜な演出や主催者・出演者の確執などで音楽界に話題を振りまいているバイロイト音楽祭。今年もネルソンスの突然の降板などがあり、欧州で相次ぐテロへの厳重警戒も伝えられていたのですが、行ってみれば警察官が数名巡回する程度ののどかな雰囲気。8月20日から25日にかけての6公演を観てきました。

「ラインの黄金」(8月20日)

ワーグナー生誕200年の2013年に新しくなったリング、今シーズン最終となる第三サイクルを聴きました。幕が開くと、そこはけばけばしいネオンサインで飾られた田舎町風情のモーテル。ガソリンスタンドの裏側にホテルが併設してあって、ホテルとスタンドの情景が回転して入れ替わります。

ラインの乙女たちとアルベリヒのくだりは、ホテル側(この装置は2階建て、さらに屋根の上にまで人が上る巨大なもの)の一階ではじまります(写真1)。乙女たちは娼婦を思わせる派手ないでたちで、小型プールの水をアルベリヒにぱしゃぱしゃと掛けてからかい、怒ったアルベリヒはプールの中から金のマントのようなものを奪って去る。

続いて2階のカーテンが開くとヴォータンが両脇にフリッカとフライアを侍らせながら、ベットの上にだらしなく寝ていて、労働者風のファーゾルトと、なぜかシックな恰好で顔の下半分を黒く塗ったファフナーがフライアを連れ去る(写真2)。こうした一連の動きを、パパラッチみたいなカメラマンが逐一撮影し、屋根の上に設置された巨大スクリーンに映し出す。周囲からも失笑が漏れていました。

アルベリヒが大蛇やかえるに化けるところではスクリーン上に本物のヘビやカエルを映すとか、お説教をするエルダが毛皮を着たマダムになっているとか、報酬の支払いの場面でフライアをベットに寝かせて金の延べ棒をばらばらと落とすとか、ドンナーがハンマーを振り下ろすと停電が治るとか――バカバカしくもウィットを利かせた小ネタの連発には、「ここはどう切り抜けるんだろう」という面白さはあった。

フランク・カストルフの演出は全体として石油利権を現代的に読み説くというコンセプトで作られているそうですが(写真3はガソリンスタンドでのファーゾルトとファフナー)、「ラインの黄金」では小ネタが多すぎて深い意味はほとんど考えられなかったですね。あまり観念的すぎるのもどうかと思いますが、でもこれもなあ。

歌手は昨年からかなり入れ替えがあったようですが、イアイン・パターソン(ヴォータン)、ロベルト・サッカ(ローゲ)、マルクス・アイヒェ(ドンナー)など味のある歌手を配した平均点の高いキャストで、後続の英雄劇とは性格の違う作品ということもあり不足なく聴けました。滑舌がよく聴きやすかったのはアルベリヒのアルベルト・ドーメン。フローのタンゼル・アクツェイベクはちょい役だけれど、時々聴こえる声がとても美声でした。この人はバイロイトでは常連のようで、脇役としていろんな作品に出演しています。

祝祭劇場は伝統的に作られたオペラハウスとも、近代的なオペラ座とも違う、独特な響きがします。ギリシャの円形劇場を模したこのホールのつくりはむしろモダンな劇場の原型だけれど、ピットの頭を覆い、客席の床もむき出しの板で、残響で着飾るのではなく輪郭のはっきりとしたクリアな音が出てくる。歌とのバランスもよかったけれど、これは指揮のマレク・ヤノフスキの職人技が効いているのでしょう。第一サイクルはいろいろと問題も多かったようですが、調整も進んでいるようです。

「ラインの黄金」 「ラインの黄金」
「ラインの黄金」  
 


「ヴァルキューレ」(8月21日)

昨日とは打って変わり舞台はアゼルバイジャンに移動。おんぼろの石油採掘工場(写真1)とそれに隣接した住居が舞台で、シルクハットをかぶった紳士風のフンディングが生首を持って登場した時(写真2)には、「ハチャメチャの続きか」と身構えましたが、その後割と地味に進みます。

フンディングがジークリンデの薬で眠り込んでしまうあたりから、前日の撮影クルーが登場し、屋内で繰り広げられる様子を建物の上のほうに張られた巨大な布地に映し出すのですが、途中からこの映像が「みんなで団結して石油を掘り当てよう」という旧ソヴィエトの労働者啓蒙映画に切り替わる。

これは何だろう、と考えていると、全然音楽に集中できない! 第二幕にでてきたヴォータンが映画の中の老人とそっくりで、違うストーリーのようでつながっているというのがオチ。舞台上でストーリーが平行し聴衆の注意を分断するのは、ルール違反のように思います。

さらに建物が回転し、倉庫の扉が開いて巨大起重機が登場。この機械もさっきの映像ででてきたやつだな――というわけで映画と舞台が合一していくんだけれど、やたらと金のかかるスペクタクルのわりには、それ以上の意味はなさそう。ブリュンヒルデが奥の寝室のベットに横になると焼却処理用と思しき装置から炎が吹き上がる(写真3)。このラストには昨日のひねりすらない。とほほ。

というわけで、演出については「いろいろとやっていました」とでも言うよりありません。で、音楽。オケは弦を中心に「ラインの黄金」よりよく鳴っていました。メンバー表を見ても凄い名手揃いという感じでもなく、雑多な臨時編成でここまでやれるあたりにドイツ伝統芸能の底力を感じます。それと録音ではすごく重い響きのように思っていたのですが、割と軽くてクリアで、しかしたっぷりとした量感があり、舞台の下から煽るようなぞくぞくとした感じは、ちょっとほかにない。

歌とのバランスは昨日と同様よく取れていたと思います。ただ、イン・テンポが基本のヤノフスキは、歌手に合わせる指揮者ではなく歌手が合わせる指揮者。だからジークムント(クリストファー・ヴェントリス)がここぞというところで表現の振幅を大きくとると、ずれる。半拍ぐらいの見事なずれっぷりが一度ならず。お互いに歩み寄ろうという意思はないのか?

大きな喝采を浴びていたのがジークリンデのハイジ・メルトン。はじめから飛ばし、最終幕はややつらそうだったけれど、役どころは十分に果たしていました。ブリュンヒルデのキャサリン・フォスターは、昨年の東京春祭でもこの役を見事に歌ったのが記憶に新しいですが、バイロイトでは常連で貫録あり。ヴォータンのジョン・ルントグレンは出鼻からちょっと様子がおかしく、最終場では声もかすれるなど、本調子ではないようでした。

「ヴァルキューレ」 「ヴァルキューレ」
「ヴァルキューレ」  
 


「トリスタンとイゾルデ」(8月22日)

22日はリングが一日開いて、ワーグナーの曾孫で、音楽祭の総監督を務めるカタリーナが演出した「トリスタンとイゾルデ」。昨年プレミエを迎えた舞台です。正直なところ前日までは期待していたほどではなかったのですが、この「トリスタン」にバイロイトの実力を思い知らされました。

なんといってもティーレマンのリード。テンポを激しく揺すり振幅が大きく、聴き手を飲み込むような迫力がある。幕前の薄暗い空間に広がる前奏曲からして、体ごと持っていかれるような強烈な吸引力を覚えました。

幕が開くと、舞台には階段が蜘蛛の巣のように張り巡らされていて(写真1)、トリスタン、イゾルデ、ブランゲーネ、クルヴェナルの四人がばらばらに座っている。

イゾルデのペートラ・ラングは、歌いだした瞬間から情念の固まりのようなハイテンションぶりで、「最後まで持つのか」と心配になったほど。トリスタン役のシュテファン・グールドもスタミナたっぷりのよく伸びるテノールで対抗。これをティーレマンが激しく煽り、冒頭から壮絶な応酬が。

このハイカロリーっぷりは、第二幕のマルケ(ゲオルグ・ツェッペンフェルト)の角の立った歌唱なども交えつつ、その後もほとんど減速することなく続く。いろいろあったけれど、なんといっても見せ場はトリスタンとイゾルデの愛の絶唱。二人が見つめあい、抱き合う第一幕、そしてイゾルデが最後に歌う愛の死。ワーグナーの甘美な陶酔の虜となりました。

しかし困ったのは、やはりここでも演出。カタリーナがやりたかったのは、ワーグナーの偶像破壊、トリスタンの脱魔術化だったとしか思えません。だって二人は会っていきなり激しく抱き合うんですから。媚薬いらなくね? 実際、惚れ薬は飲まずにどぼどぼと床に流していました(写真2)。一番激しく高揚する場面では、マルケとの婚礼につかう花嫁のヴェールをびりびりと破くのに忙しい。音楽はこんなにロマンチックなのに、そりゃないでしょ。さらに終幕では愛の死を歌い終えたイゾルデを、後ろに控えていたマルケが連れ去っていってしまう。

音楽は最高なのに、泣かせるツボをことごとくはずす「えーっ(汗)」の連続。ブレヒトの異化効果じゃないけれど、冷や水ぶっかけっぷりに「もしかするとこの人すごいのかもしれない」という思いが一瞬頭をよぎりました。

舞台美術。奥行きのはっきりしない空間で繰り広げられる第三幕、ここまでさんざんへんてこりんなのを見せられたこともあり、シンプルでよかった(写真3)。六〇年代の新バイロイト様式って写真で見ただけですが、抽象的な舞台で、主に照明で変化をつける。あれは予算がない時代の解決策だったわけですけれど、見た感じは近いように思いました。

「トリスタンとイゾルデ」 「トリスタンとイゾルデ」
「トリスタンとイゾルデ」

(C)Bayreuther Festspiele/Enrico Nawrath

江藤光紀 (音楽評論)

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2016年9月1(木)
「アジア オーケストラ ウィーク(AOW)2016」 10月に東京オペラシティで! 高まるアジアのオーストラの力量!
ヴァイオリン:ボムソリ・キム
ヴァイオリン:ボムソリ・キム

2002年にスタートした「アジア オーケストラ ウィーク(AOW)2016」は10 月に東京オペラシティコンサートホールで開かれる。

AOWに出演するアジアのプロのオーケストラは各オケとも腕を競って実力を披露する。アジアの各オケとも年々力をつけているので東京での見せ場で勝負するようだ。多くの聴衆もその辺の期待を寄せてAOWに集まる。

2016年は日本の参加は「セントラル愛知」、タイから「バンコク交響楽団」、韓国から「チャンウォン市立交響楽団」この3楽団で競う。チャンウォン市立交響楽団のソリストにはヴァイオリン:ボムソリ・キムが出演する。仙台国際音楽コンクールやそのほか海外のコンクールで入賞の若手のホープが演奏する。

多賀城市ではセントラル愛知交響楽団とバンコク交響楽団の合同演奏会が開かれる。


コンサート情報

平成28年度(第71回)文化庁芸術祭主催公演
《アジア オーケストラ ウィーク2016》

平成28年度(第71回)文化庁芸術祭主催公演

《セントラル愛知交響楽団》

●2016年10月05日(水)19時  東京オペラシティコンサートホール
《セントラル愛知交響楽団》
http://www.caso.jp/

指揮:齊藤一郎

  • 尹伊桑:弦楽のためのタピ
  • 芥川也寸志:交響三章「トリニタ・シンフォニカ」
  • リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラサード」

《バンコク交響楽団》

●2016年10月06日(木) 19時 東京オペラシティコンサートホール
《バンコク交響楽団》
http://www.bangkoksymphony.org/V5/home.html

指揮:ミシェル・ティルキン

  • ベートーヴェン:序曲「コリオラン」
  • ハイドン:協奏交響曲 変ロ長調
  • ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調

《チャンウォン市立交響楽団》

●2016年10月07日(金) 19時  東京オペラシティコンサートホール
《チャンウォン市立交響楽団》
http://www.cwart.kr/english/orchestra/sub_01.asp

指揮:パク・テヨン
ヴァイオリン:ボムソリ・キム

  • ボロディン:交響詩「中央アジアの草原にて」
  • メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調
  • チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 「悲愴」

入場料:S 3,100円 ペア券(S席2枚)5,000円  A 2,060円 B 1,030円
東京公演3セット券 S 7,000円 A 5,000円(日本オーケストラ連盟のみ取扱)
お問い合わせ:03-5610-7275
日本オーケストラ連盟
詳細: http://www.orchestra.or.jp/information/2016/Asia-Orchestra-Week/
チラシ(PDF/4MB)
※こちらのPDFを印刷して、チラシとしてご利用いただけます。

◆アジア オーケストラ ウィーク2016 
宮城公演 セントラル愛知交響楽団とバンコク交響楽団
2016年10月4日(火)19時 多賀城市民会館 大ホール(宮城県多賀城市)

指揮:齊藤一郎
指揮:ミシェル・ティルキン

  • セントラル愛知交響楽団
    芥川也寸志:交響三章「トリニタ・シンフォニカ」
  • バンコク交響楽団
    ベートーヴェン:序曲「コリオラン」
  • 合同演奏
    ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調

入場料: 一般 3,000円 小学生〜大学生・60歳以上 1,000円          
詳細: http://tagajo-bunka.jp/event1102-d20161004.html


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2016年8月30(火)
東京混声合唱団創立指揮者:田中信昭 第240回定期 その重さ!
指揮者:田中信昭
指揮者:田中信昭

10月7日に第240回定期をむかえる東京混声合唱団、創立指揮者:田中信昭がタクトを振る。

1956年にプロ合唱団として産声をあげた。それ以来60年を超える運営は容易な道を歩いていない。

東混の芸術性、国際性、音楽性と王道を歩んできた。それは彼がひと筋に日本のプロ合唱団の原型を作り上げるために生きたてきたという「証」にほかならない。第240回という定期演奏会はそのような意味を込めた集大成を聴くことになる。

東京混声合唱団

視聴:田中信昭 NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)
http://ml.naxos.jp/KeywordSearch2.aspx?word=%E7%94%B0%E4%B8%AD%E4%BF%A1%E6%98%AD

コンサート情報
《東京混声合唱団第240回定期演奏会》東混創立60周年記念連続定期演奏会No.3

《東京混声合唱団第240回定期演奏会》
東混創立60周年記念連続定期演奏会No.3
2016年10月7日(金)19時 東京文化会館小ホール

指揮:田中信昭
ピアノ:中嶋香

  • 野平一郎(1953-):混声合唱とピアノのための 転調するラヴソング(2015年委嘱作品)
  • 大岡 信:詩  I.さわる II.マリリン
  • 平川加恵(1986-):音の歳時記(2016年委嘱作品)−初演−
  • 那珂太郎:詩

  • 世界のメロディ −愛唱曲より−
    ジェリコの戦い(黒人霊歌・ホーガン編曲)
    カリンカ(ロシア民謡・田中信昭編曲)
    ソーラン節(北海道民謡・三善晃作曲)
    ほか(演奏順不同)

入場料(税込み・全自由席) 一般券 4,500円  学生券 2,500円
お問合せ:03(3200)9755
東京混声合唱団   http://toukon1956.com/

前売り
東京混声合唱団オンラインチケット http://toukon.tstar.jp/
チケットぴあ 0570(02)9999(Pコード 303−011)
CNプレイガイド 0570(08)9990
ローソンチケット  0570(000)407(Lコード 33742)
東京文化会館チケットサービス 03(5685)0650
東京コンサーツ http://www.tokyo-concerts.co.jp/
(東京コンサーツHPで予約をして、セブンイレブンで支払い可能)

チラシ(PDF/509KB)
※こちらのPDFを印刷して、チラシとしてご利用いただけます。


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