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[クラシック・ニュース 2016/11/1〜 2016/11/7]
2016年11月7日(月)
東京音楽通信〔204〕 2016年10月後半
オーケストラのように

レ・ヴァン・フランセ ―― ソリストが結集して作った団体なので、個々の奏者はいろいろな機会に耳にしますが、グループとしての来日は2年ぶりだそうです(10月22日、彩の国さいたま芸術劇場)。

ジョルジュ・オンスロー(木管五重奏 へ長調 作品81)は19世紀前半に活躍した作曲家ですが、フランス人らしく流麗な筆の運びが心地よい。5人が作り出すアンサンブルは隙がない上に、実に奥行きが深い。なんと言ってもフルートのパユ、オーボエのルルーの、音量からダイナミズムまでスケールの大きな造形力が、この彫りの深さに大きく貢献している。ベートーヴェン「ピアノ、フルートとバスーンのための三重奏曲 ト長調」は、こういう機会でもないと聴けない珍しい曲だけれど、終楽章の変奏曲はベートーヴェンらしい多彩な趣向が凝らしてあります。

後半。ティエリー・エスケシュ「メカニック・ソング」は彼らの委嘱で書かれ、2007年の来日で初演されました。冒頭にピアノででてくる断片的なフレーズが、特殊奏法を含む管楽器群が作り出す不透明な音の綾によって中断される。この断片的なテーマは何度も顔を出し、全体をまとめるモチーフとなっています。彼らの機能性が十分に発揮されて、オーケストラのような大きな振幅が生まれました。

ジョリヴェ「セレナード―オーボエ主奏を伴う木管五重奏のための」は、もともとオーボエ・ソナタとして書かれたものの編曲。呪術的なメロディーから反復されるリズム・パターンが生み出す原始性まで、曲のツボを的確につかみつつ、顔を真っ赤にして吹きまくるルルーの馬力に圧倒されました。

最後は彼らのトレード・マーク、プーランク「六重奏曲」。ぴったりとあった呼吸、完璧なバランス、技術的なものを乗り越えた先に生まれるリラックスした交歓は、ライブの醍醐味。もう何度も聴いているのに、何度聴いても飽きないんですよね。

レ・ヴァン・フランセ  
写真提供:(公財)埼玉県芸術文化振興財団 
撮影:加藤英弘


アンサンブルの妙味

ウィーン国立歌劇場2016来日公演 R.シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」 ―― バッカスのヨハン・ボータが急逝、作曲家役のヴェッセリーナ・カサロヴァがご家族の不幸で来日断念と、ビックネームが相次ぎ降板しましたが、代役の歌手たちもそれに劣らぬ活躍を見せ、結果的には期待通りのハイレヴェルな上演になりました(10月28日、東京文化会館)。

前半部のプロローグ。最初に登場する執事(ハンス・ペーター・カンメラー)をはじめどの歌手も滑舌が良く、音楽教師のマルクス・アイヒェらヴェテラン勢も要所を引っ張って、筋がテンポよく進みます。ここらへんはマレク・ヤノフスキのぴしっとしたリードも貢献度大。作曲家のステファニー・ハウツィールはウィーン国立歌劇場のアンサンブル・メンバーで、真面目で神経質な役どころをそつなくこなしていました。

後半のオペラ。ボータの代役として登場したステファン・グールド(バッカス)の声のでかいこと。先日、新国立劇場で歌ったジークムント(ヴァルキューレ)もここまではでていなかった。あまりに巨声すぎて他の歌手と釣り合っていなかったけれど、いまいちぱっとしなかったアリアドネのグン=ブリット・バークミンなど、重唱になると生気が増したのはグールド効果だと思います。ツェルビネッタのダニエラ・ファリーは、コロラトゥーラのコントロールが自由自在。三人の妖精たちが歌う「響け甘い歌声よ」は、お互いによく溶け合い、まろやかなアンサンブルとなっていました。

スヴェン=エリック・ベヒトルフの演出は、第一幕でダンサーたちに側転をさせるなど、意表を突くところもあったにせよ、意外なまでにオーソドックス。舞台上に客席をしつらえたオペラ本編も分かりやすかった。この客席の上にはろうそくみたいなものが置いてありましたが、あれは何でしょうか?



創造はスパークから生まれる

サントリー芸術財団コンサート 作曲家の個展2016 II 西村朗×野平一郎 ―― 今年から装いを新たにした「作曲家の個展」。テーマ作曲家が二人に増えただけでなく、お互いに作品を委嘱しあい、さらには協奏曲を共作してしまうというディープな企画です。

前半は相互委嘱。当代トップの作曲家同士の委嘱とあって、「中途半端なものはだせない!」という意気込みがひしひしと伝わってきました。野平「時の歪み」はアイディアとしては素材を縦方向(音高)と横方向(時間軸)に伸縮させるというものですが、立体的なオーケストレーションになっていて、たいへん見通しがいい。木管楽器が網状のテクスチュアを作り、金管と弦のほどよい接着剤のように機能しているあたりに熟練の技を感じました。

西村「液状管弦楽のための協奏曲」。液状といってもあくまでも作曲家のイメージのお話で、何か特殊な楽器が使われているわけではありません。この曲、これまでの創作の延長にありながら、オケがからっと鳴り面白かった。西村の場合、ポテンシャルを蓄積していった先に起こるのがエクスプロージョンではなく、ハレーションなのだということが、この曲くらいはっきりと感じられたことはない。これは杉山洋一指揮都響の力演がもたらしてくれたものでもあったでしょう。

二人の共作「ピアノ協奏曲 クロッシングA・I」。ソロと管弦楽を入れ替わりで作曲した1・3楽章の合間に、それぞれが6つずつの断片を作曲し、順不同に演奏する独奏のみの中間楽章からなる。独奏部が暴力的に音の多いコンチェルトでした(ソロ・野平)。楽曲としての統一性はどうかなと思う部分もあったけれど、力こぶの入った創作は互いへのリスペクトの現れなのでしょう。

サントリー芸術財団コンサート 作曲家の個展2016 II 西村朗×野平一郎 サントリー芸術財団コンサート 作曲家の個展2016 II 西村朗×野平一郎
提供:サントリー芸術財団


情熱と知性

マレイ・ペライア ピアノ・リサイタル ―― ペライアが最近ちょくちょく来日してくれるのはうれしい限り。今年はソロ・リサイタルを聴きました(10月31日、サントリーホール)。

前半はしぶーい選曲でした。暗い曲調が多いので、重くなるのを予想していたのですが、パッションを迸らせても、決して情におぼれず、両者のバランスをコントロールして作っていくあたり、知性派ピアニストの面目が躍如。

ハイドン「アンダンテと変奏曲 ヘ短調」とモーツァルト「ピアノ・ソナタ第八番」。古典派だからといって小さくまとめるのではなく、ヴァラエティに富むタッチと、知と情の巧みなバランスでスケールの大きな音楽を構築。昔はもっと音の美しさで売っていたと思うのですが、今回は厚手の響きを用いて面で押していくような部分もあって、イメージが少し変わりました。

ブラームスの晩年の小品からの抜粋も、枯れた雰囲気はなし。リズムとメロディーの織りなす複雑な綾や和声の流れを立体的に組み立てていく。後半、ベートーヴェン「ハンマークラヴィア」は、芯のしっかりした音で明晰に構築。終楽章で青空のようにすがすがしい序奏の後に、火を吹くような鮮烈なフーガが続く。この長大なフーガ、パワーが最後まで全然落ちなかった。なものが漂い出してきました。


江藤光紀 (音楽評論)

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2016年11月4(金)
「METライブビューイング2016-17」シーズン始まり!期待のワ―グナー「トリスタンとイゾルデ」で!

ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」がMETライブビューイング2016-17のはじまりです。

ベルリンフィルの音楽監督:サイモン・ラトルの指揮で新演出はポーランドの映画監督、鬼才M・トレリンスキが担当する。
歌手陣も望みうる最高の陣容で取り組んでいる。11月12日から始まる上演(上映)はニューヨークのMET 10月8日の公演の舞
台が再現される。

◆METライブビューイング2016-17
第1作 ワーグナー 《トリスタンとイゾルデ》 新演出
上映期間:2016年11月12日(土)〜11月18日(金)

指揮:サイモン・ラトル 演出:マリウシュ・トレリンスキ

出演:
ニーナ・ステンメ(イゾルデ)
スチュアート・スケルトン(トリスタン)
エカテリーナ・グバノヴァ(ブランゲーネ)
ルネ・パーペ(マルケ王)
エフゲニー・ニキティン(クルヴェナール)

MET上演日 2016年10月8日 上映時間:5時間7分(休憩2回)
言語:ドイツ語
2016年11月12日(土)〜11月18日(金)新宿ピカデリー・東劇ほか 全国にて“開演”!

METライブビューイング: http://www.shochiku.co.jp/met

You Tube映像:
《トリスタンとイゾルデ》新演出 予告編
https://youtu.be/q_yQ3jVWreU

試聴:トリスタンとイゾルデ NML(ナクソス・ミュージック・ライ リー)
http://ml.naxos.jp/KeywordSearch2.aspx?word=%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%B9%
E3%82%BF%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%82%A4%E3%82%BE%E3%83%AB%E3%83%87

舞台写真:(C) Ken Howard/ Metropolitan Opera.

ワーグナー 《トリスタンとイゾルデ》 新演出 ワーグナー 《トリスタンとイゾルデ》 新演出

ワーグナー 《トリスタンとイゾルデ》 新演出 ワーグナー 《トリスタンとイゾルデ》 新演出

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2016年11月3(木)
【札幌発】 《渡邊 順生 チェンバロレクチャーコンサート》とチェンバロ渡邊順生のおすすめCD!「インタビュー@クラシック」で!
チェンバロ渡邊順生
チェンバロ:渡邊順生

【札幌発】 チェンバロの渡邊順生が札幌におけるチェンバロレクチャーコンサートと彼のおすすめCDを紹介します。「インタビュー@クラシック」で!

「インタ ビュー @クラシック」
http://classicnews.jp/interview/index1117.html

札幌コンサートホールKitaras小ホールで渡邊順生のチェンバロレクチャーコンサートが開かれます。聴衆に向けてわかりやすいお話と演奏をお楽しみいただけます。

また彼自身が推薦する「おすすめCD」2点の紹介です。

試聴:渡邊順生
http://ml.naxos.jp/KeywordSearch2.aspx?word=%E6%B8%A1%E9%82%8A%E9%A0%86%E7%94%9F


コンサート情報

【札幌発】 《渡邊 順生 チェンバロレクチャーコンサート》
<Kitaraクラシック入門講座>

〜チェンバロの歴史をたどり、その魅力に迫るレクチャーコンサート〜
2016年11月12日(土) 15時 札幌コンサートホールKitara小ホール

チェンバロ・お話:渡邊 順生

〜チェンバロの美しい響きに耳をかたむけてー

  • 【イギリスの音楽】
    ダウランド:涙のパヴァーヌ
    バード:運命はわが敵
  • 【フローベルガー生誕400年を記念して】
    フローベルガー:トッカータ 二短調
    :組曲 第30番 イ短調より
    :嘆き〜憂鬱をはらすためにロンドンで作曲
    :組曲 第20番 ニ長調より
    :瞑想〜来たるべき我が死に寄せて

〜チェンバロで描く華やかなオーケストラの世界

  • 【ラモーの音楽】
    ラモー:恋の嘆き
    :つむじ風
    :一つ目巨人たち
  • 【J.S.バッハの作品】
    J.S.バッハ:リュートのための前奏曲とフーガとアレグロ 変ホ長調 BWV998
    :イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971

料金 全席指定(税込) 一般 2,000円 U25シート 500円
※U25シートは1991年以降生まれの方が対象(未就学児を除く)
▼Kitara Club 会員料金▼一般 1,500円

詳細: https://www.kitara-sapporo.or.jp/event/dsp.php?num=1547
チラシ(PDF/433KB)
※こちらのPDFを印刷し、チラシとしてご利用下さい。


渡邊順生おすすめCD
、《フレスコバルディ/フローベルガー チェンバロ作品集》

1、《フレスコバルディ/フローベルガー チェンバロ作品集》
レコード芸術特選盤・音楽現代推薦盤
渡邊 順生(チェンバロ)

  • ジローラモ・フレスコバルディ:
    1 トッカータ第2巻第7番 ニ調
    2 トッカータ第1巻第10番 ヘ調
    3〜16ロマネスカのアリアに基づく14のパルティータ
    17 トッカータ第2巻第11番 ト調
    18 ルッジェーロのアリアに基づくカプリッチョ第12番
    19〜21 パッサカリアに基づく100のパルティータ
  • ヨハン・ヤーコプ・フローベルガー:
    22 トッカータ第2番 ニ短調
    23 嘆き〜憂鬱を晴らすためにロンドンで作曲(組曲第30番 イ短調 より)
    24〜27組曲第27番 ホ短調
    29 ブランロシェ氏の死に寄せる悲嘆とトンボー
    30 皇帝フェルディナント3世のトンボー
    31〜34 組曲第20番 ニ長調

〈録音〉神奈川県立相模湖交流センター 2015年12月9〜11日
ALMレコード・コジマ録音 価格2.800円(税抜き)

《銘器クロルで弾く 「フランス・クラブサン音楽選集 渡邊順生」》

2、《銘器クロルで弾く 「フランス・クラブサン音楽選集 渡邊順生」》
レコード芸術特選盤・読売新聞推薦盤
渡邊 順生(チェンバロ)

  • 1ー5 L. クープラン(c.1626-1661):組曲 ニ長調
  • 6-14 ラモー(1683-1764):クラヴサン曲集(1724)より組曲 ニ短調 – ニ長調
  • 14-17 L. クープラン:組曲 ハ長調
  • 18-24 A. フォルクレ(1671-1745):組曲第5番 ハ短調

〈録音〉シャルトル博物館(フランス) 2014年4月1, 3, 7, 9日
〈使用楽器〉クリスティアン・クロル Christian Kroll (1776 Lyon)
ALMレコード・コジマ録音 価格2.800円(税抜き)

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2016年11月1(火)
新刊書紹介:「バッハ・古楽・チェロ アンナー・ビルスマは語る」 興味深い音楽図書の出現! 「インタビュー@クラシック」で!
音楽学の研究者:加藤拓未・チェンバロ奏者:渡邊順生
左)音楽学の研究者:加藤拓未
右)チェンバロ奏者:渡邊順生

新刊書紹介:「バッハ・古楽・チェロ アンナー・ビルスマは語る」が新刊書として発売された。
これまでたびたび共演者として、ステージを共にしてきたチェンバロ奏者:渡邊順生がビルスマの聞き役として話を進めた。

新進の音楽学の研究者:加藤拓未が編集と翻訳の役割を担った。
加藤拓未(左)と渡邊順生(右)による話を聞いた。
「インタビュー@クラシック」で! 

「インタ ビュー @クラシック」
http://classicnews.jp/interview/index1116.html

二人の対談でこの本の出来たいきさつや、実際の取材の様子が手に取るように語られる。かって元気に来日して演奏していた頃のビルスマが眼前にいるような内容に描かれている。

ビルスマはその生い立ちからはじまり、チェリストとして音楽活動の動きなどの話になる。古楽の新しい運動のよき仲間たちとの出会いになる。レオンハルト、ブリュヘン、たちとの新しい古楽の運動の牽引車としての大切な仕事を果たした。バッハの無伴奏チェロ組曲の奏法についてなど、彼の思い出話など興味深い話が出てくる。
数多くの写真も興味深いものだ。渡邊順生との未発表のライブのCDが添付されているのもうれしい。



ビルスマ(左)レオンハルト(中央)ブリュヘン(左)

試聴:アンナー・ビルスマ NML(ナクソス・ミュージック)
http://ml.naxos.jp/KeywordSearch2.aspx?word=%E3%83%93%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%9E


書籍情報
《バッハ・古楽・チェロ アンナー・ビルスマは語る》

《バッハ・古楽・チェロ アンナー・ビルスマは語る》
アンナー・ビルスマ+渡邊順生:著
加藤拓未:編・訳
刊:アルテスパブリッシング

定価:本体3800円[税別]
A5判・上製・272頁+1CD
発売日:2016年10月12日
ISBN978-4-86559-148-4 C1073
カバー写真:Marco Borggreve
ブックデザイン:金子裕

未発表ライヴCD付き!
A. ビルスマ+渡邊順生「佐々木節夫メモリアルコンサート」
1999年10月15日、日本福音ルーテル東京教会


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2016年11月1(火)
CD紹介:《リスト、他/ヘクサメロン変奏曲》ブランヒャルト、ブッヘ、他(P)
《リスト、他/ヘクサメロン変奏曲》ブランヒャルト、ブッヘ、他(P)《モーツァルト/悔悟するダヴィデ、他》ミンコフスキ指揮

◎曲目

  1. 1.ヘクサメロン変奏曲
    a.序奏(リスト)
    b.主題(リスト)
    c.第1変奏(タールベルク) 
    d.第2変奏(リスト)
    e.第3変奏(ピクシス/リスト)
    f.第4変奏(エルツ)
    g.第5変奏(ツェルニー/リスト)
    h.第6変奏(ショパン/リスト)
    i.終曲(リスト)
  2. マズルカOp.17-1(ショパン)
  3. シューベルトの有名な主題による変奏曲Op.12(ツェルニー)
  4. 夜想曲(タールベルク)
  5. ロッシーニの『ウィリアム・テル』によるロンド(エルツ)
  6. 葬送(リスト)
  7. 夜想曲Op.55-1(ショパン)
  8. ワルツ(ピクシス)
  9. 空を越えるヘクサメロン(ブッヘ)

演奏:ヨハン・ブランヒャルト(a,i,6)、レオン・ブッヘ(b,e,g,i,9)、カルロ・ゴイコチエチェア(c,g,i,4)、カロリーヌ・セリュー(d,h,2,7)、吉兼加奈子(e,f,3)、クラウディウス・タンスキ(a,5,8)(以上P)

録音:2012年12月10〜12日 ドイツ、マリエンミュンスター修道院演奏館
会社:mDG
番号:MDG9041803-6
定価:オープン価格(輸入盤)

この曲は戦禍を避けてパリに亡命していたイタリア貴族夫人が企画したチャリティ・コンサートのために、リストがプロデュースして出来上がった。当時パリに滞在していたピアニストと作曲家六人の合作であり、「ベッリーニの歌劇『清教徒』の行進曲の主題による華麗な演奏会用大変奏曲」という別名を持っている。それぞれの作曲した部分を自分で弾くために六台のピアノを用意することが想定されていたが、今日では実際には一人で演奏するのが普通である。これはレコーディングということもあって当初のアイディア通り六人のピアニストが動員されているが、ここでは六人のピアニストが必ずしも同一作曲家が作曲した部分に対応して弾いている訳ではない。なお「ヘクサメロン」とはギリシャ語で「六編の詩」というような意味である。

演奏しているピアニストはいずれもドイツとオーストリアで活躍中の若手であり、日本の吉兼加奈子は録音当時ザルツブルク・モーツァルテウムに在学中だった。いずれも特別際立った個性の持主ではないにしても、リストとタールベルクの対決として話題を呼んだ二人が作曲した個所のヴィルトゥオーゾぶりをはじめとして、作品の姿を率直に弾き上げている。

「ヘクサメロン変奏曲」の他に合作に参加した作曲家の作品もそれぞれ一曲づつ収められているが、演奏陣の中心人物の一人ブッヘの作品が彼自身の演奏によって取り上げられている。

野崎正俊(音楽評論家)

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