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[クラシック・ニュース 2017/9/5〜 9/11]
2017年9月8(金)
新譜紹介:《恋するリコーダー リコーダーコレクション 山岡 重治リコーダー》
《モーツァルト/ピアノとヴァイオリンのためのソナタ作品全集U》ヤコブ・ロイシュナー & 漆原啓子

恋するリコーダー リコーダーコレクション 山岡 重治(リコーダー) & レ・サンク・サンス

曲目

  1. I グリーンスリーヴスによる変奏曲(作者不詳)
  2. A.ヴィヴァルディ:ラルゴ協奏曲ニ長調「ごしきひわ」より
  3. D.オルティス:「甘い思い出」によるレセルカーダ 第2番
  4. T.シンプソン:リチェルカーレ「愛しのロビン」
  5. T.メールラ:カンツォン「うぐいす」
  6. J.M.オトテール:つれない女
  7. J.M.オトテール:嘆き
  8. J.M.オトテール:可愛い子
  9. M.ブラヴェ:ブリュネット「もう終わりなのか、つれない人よ」
  10. W.A.モーツァルト:愛の喜びは露と消え
  11. W.A.モーツァルト:恋人か女房が
  12. J.J.クヴァンツ:永遠のカノン
  13. F.クープラン:恋のうぐいす

山岡 重治リコーダー
レ・サンク・サンス

向江昭雅 リコーダー 9
太田光子 リコーダー 12
山縣万里 チェンバロ 1,2
能登伊津子 オルガン 3,4
平尾雅子 ヴィオラ・ダ・ガンバ 4,6,7
上尾直毅 チェンバロ 6,8
金子浩 リュート 6,7,8
繻`亜樹子 チェンバロ 13

MM-4005  マイスター・ミュージック  定価¥3,000+税

リコーダーの製作者で、演奏家としても活躍する山岡重治のリコーダーソロと彼が率いるレ・サンク・サンスの登場である。レ・サンク・サンスのベテランたちの音楽が素晴らしい。演奏者たちは息のあった仲間である。

リマスター化された音源で、輝かしさも増して新しい装いになった。リコーダーの長い歴史を物語るようにこれまでに聴き馴染んでいる多くの曲が楽しめる。手軽にアンサンブルを楽しめるのもリーコーダーの良さだろう。このような演奏から、多くのファンが生まれてきそうだ。

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2017年9月6日(水)
東京音楽通信〔218〕 207年7月
70歳になったゼルキン

トリフォニーホール グレイト・ピアニスト・シリーズ2017/18 ゴルトベルク変奏曲2017 ピーター・ゼルキン ピアノ・リサイタル ―― 昨年の東京オペラシティでの武満作品展を病気で急遽降板したので、気になっていたんです、ゼルキン(8月1日、すみだトリフォニー)。

モーツァルト「アダージョ ロ短調 K540」。弱火でじっくり焙煎していくような演奏。ゆったりとしたテンポで、作曲者の情念や音の動きに合わせた心の揺れに焦点を合わせていく。厳しい和音は刺すようなタッチで。それはまるで、水分を含んだ豆が炙られてバチっとはじけるみたいに、強烈なポテンシャルをもって響く。

そこから間をあけずモーツァルト「ソナタ変ロ長調K570」へ。これは一風変わった演奏。第一楽章は前曲を引き継いでゆったりしたテンポで始まるのですが、フレージングがかなり個性的で、一瞬真空が生じるみたいに遅くなったりする。楽章が進むにつれて晴れやかになっていきます。

休憩後、「ゴルトベルク変奏曲」。これもなんだか謎めいた演奏でした。テーマの提示からしてかなり独創的で、装飾の入れ方によってかなり強烈な伸縮を見せる。最初のモーツァルトが相当遅い演奏だったので、そこらへんが基準になるんだけれど、全部がのっぺりしたテンポというわけではなく、ジャズみたいにスィングする変奏があったりする。

ゴルトベルクはゼルキンの愛してきた曲で、繰り返し録音もしているし一方ならぬ思い入れもあるのでしょうが、これは何というか、うーん、私にはちょっとよく見通せない演奏だった。技術的にも「ゼルキンもそれなりに年をとったな」と思うところもあったし。

トリフォニーホール グレイト・ピアニスト・シリーズ2017/18 ゴルトベルク変奏曲2017 ピーター・ゼルキン ピアノ・リサイタル トリフォニーホール グレイト・ピアニスト・シリーズ2017/18 ゴルトベルク変奏曲2017 ピーター・ゼルキン ピアノ・リサイタル
 
提供:すみだトリフォニーホール ©K.Miura


たぎる血潮

ファビオ・ルイージ指揮読売日本交響楽団 サマーフェスティバル2017 ルイージ特別演奏会 ―― 4月に行われたN響との競演に続き、つい先日行われたサイトウキンの演奏も評判は上々で、いまが旬、といってもいいかもしれません、ファビオ・ルイージ。読響との初競演となれば、聴かないわけにはいかない!(8月24日、東京芸術劇場)

R.シュトラウス「ドン・ファン」は、いきなりトップ・ギア。ルイージのタクトは魔法の棒で、テンポはかなり激しく揺れているんですが、音を吸いよせるみたいに、オケがぴったりとついていく。オーバーアクションのような気もするけれど、煽りの大きな演奏なので、メンタルな影響以上に、テンポをどこまで持っていくかを視覚的に示すという実際的な意味もあるように思います。

ハイドン交響曲82番「熊」。こちらは古典的な構えでノーブルに作っているのですが、フレーズごとに入念に手が入っていて、通り一遍で済ませないところがさすが。終楽章はハイドンらしいユーモアが満載ですが、ティンパニをはじめ、かなり派手に鳴らして会場を沸かせました。お気に入りの曲という理由もよく分かる。

R.シュトラウス「英雄の生涯」。再び舞台は満艦飾に。がっちりとした低弦の主題から安定感抜群。「英雄の伴侶」ではコンマスの永原幸太がチャーミングなソロを聴かせました(カーテンコールで何度も立たされていた)。「英雄の戦い」はテンポは根っこがしっかりあるのですが、打楽器と金管を中心とした騒然とした雰囲気はアドレナリンを誘発します。

今回は最後に一手間かけた改訂版とは異なる初稿版ということで、安らかなエンディングで英雄が無事に大往生を遂げていました。

ファビオ・ルイージ指揮読売日本交響楽団 サマーフェスティバル2017 ルイージ特別演奏会 ファビオ・ルイージ指揮読売日本交響楽団 サマーフェスティバル2017 ルイージ特別演奏会
©読売日本交響楽団


さわやかな笑い呼ぶ

平成29年度新国立劇場地域招聘オペラ公演 びわ湖ホール サリヴァン作曲 コミック・オペラ「ミカド」 ―― びわ湖ホールは専属の声楽アンサンブルを持ち、質の高い企画・公演を行っていることで知られています。今回は東京への引っ越し公演(8月27日、新国立劇場中劇場)。

幕が開くと、そこは現代の観光名所、東京。後方に巨大映しされるのはネットの観光情報サイトであったり、秋葉原とおぼしき町並みであったり。ナンキプー(二塚直紀)はエレキを抱えた流しのミュージシャンで、掛け合いの部分にも防衛大臣辞任とか「そんなの関係ねえ」とか、時事ネタをバンバンぶっこんでくる。風刺的なバラッド・オペラの精神を現代日本に敷衍したということなんでしょう。訳詞上演だからこその脱線ぶり。

プロセニアム上部には英語の字幕もでていて、たとえばココ(迎肇聡)は死刑執行人から突如、最高指導者に任ぜられるのですが、英語だとExecutioner からHigh Executionerへという一語加えただけの言葉遊びであることが分かる。ただ日本語で後から加えたやりとりにも訳が出ていて、原作の台本を示すという目的なのか、日本語が分からない人へのサーヴィスなのか混乱しました(ちなみに、そんなに外国人客はいなかったような…)。

びわ湖ホール声楽アンサンブルのメンバーで固めたメインキャストには、常設アンサンブルの長所がよく出ていました。各人がよく役の性格を表現していたし、動きもなめらかでテンポがよい。笑いを中心に作っていく場合、演技がまずいのがいて呼吸が停まったりすると一気に興ざめしますが、今回は演じる側が楽しんでいる感じがあった。関西圏出身の人たちの「笑ってもらってなんぼ」というサーヴィス精神なのでしょうか。

ミカドの松森治が印象的。ふくよかでたっぷりと響く美声のバスで、あまり聴いたことのないタイプ。女三人寄ると姦しい、という格言どおり飯嶋幸子(ヤムヤム)、山際きみ佳(ピッティシング)、藤村江李奈(ピープボー)が浮ついた女子高生の感じをよく出していたし、各幕のフィナーレの重唱、ココやナンキプーが絡むマドリガルなどが鮮やかに決まって気持ちがよかった。

園田隆一郎のリードは相変わらず地に足をつけた手堅さ。笑い中心の舞台をほどよく型に入れていました。管弦楽は日本センチュリー交響楽団。

平成29年度新国立劇場地域招聘オペラ公演 びわ湖ホール サリヴァン作曲 コミック・オペラ「ミカド」 平成29年度新国立劇場地域招聘オペラ公演 びわ湖ホール サリヴァン作曲 コミック・オペラ「ミカド」
提供:びわ湖ホール


速報、サントリーサマーフェスティヴァル、80年を超えた初演

ザ・プロデューサー・シリーズ 片山杜秀がひらく「日本再発見」 “戦前日本のモダニズム” ―― 忘れられた作曲家、大澤寿人――リニューアル・オープンとなったサントリー・ホールで最初の大型企画となるサマーフェスティヴァルが開幕しました。今年の目玉は何といっても博覧強記の評論家・片山杜秀プロデュースによる日本近代音楽再発見。その第一弾が、戦前日本が生んだウルトラ・モダニスト大澤寿人の忘れられた交響楽作品3曲。うち2曲は83年ぶりの世界初演(9月3日)。

大澤は現代音楽の盛んだった町ボストンに留学した後、さらにパリに学びました。先端的な書法を自在に操る能力は、かの地でも高く評価されていたと言われます。帰国後は時局の悪化から国外での発表や活動を断念せざるをえなくなり、国内ではあまりに進歩的な作風は理解を得られず、戦後復興期が終わってさあこれからという時代に世を去りました。まさに時代の狭間にすっぽりとはまったまま、忘れ去られたのです。

クーゼヴィツキーに献呈された1934年作曲の「コントラバス協奏曲」(世界初演)。戦前に日本人がこの楽器のコンチェルトを書いていたこと自体が破格ですが、曲のグロテスクぶりもひとかたならず。オケの表現力を引き出すことでめまぐるしい音色の変化を生み、低音域で音の輪郭が現れにくいソロ(佐野央子)とのコントラストが生まれる。5楽章構成の大作ですが、特に目を引いたのが第二楽章の「モノローグ」。微分音程を使い、独特な拍節感、節回しをもっている。単なるコスモポリタンではなく、モダンの中に日本的なものを香らせるさじ加減も見事。

ピアノ協奏曲第三番「神風協奏曲」。今世紀に入ってからの大澤再発見の原動力になった曲の一つ。タイトルの「神風」は特攻隊ではなく、当時流行していた民間寄付による軍への奉納戦闘機につけられた名前。欧米で20年代に流行した機械主義の延長にあるような作風でエネルギッシュかつパワフル。途中でジャズっぽい雰囲気になったり、ラヴェルのコンチェルトを思わせるリリックなメロディーが出てきたりと、とにかく飽きない。ピアノの福間洸太朗が切れ味鋭いソロで興を添えてくれました。

「交響曲第一番」。3楽章構成の巨大なシンフォニー。コントラバス協奏曲と同年の作ですから、凄まじい創作力です。幾重にも厚塗りされた重量級の第一楽章に続き、ブロック状に構成された第二楽章(変奏曲)、ロンド主題が回帰するフィナーレと続きます。

たっぷりとした聴後感。山田和樹指揮日本フィルの演奏も共感に溢れ、作曲から83年たってこんな立派な演奏で世に出たことに感動。作曲家も草葉の陰で嬉し泣きしているのではないでしょうか。

ザ・プロデューサー・シリーズ 片山杜秀がひらく「日本再発見」 “戦前日本のモダニズム” ザ・プロデューサー・シリーズ 片山杜秀がひらく「日本再発見」 “戦前日本のモダニズム”
ザ・プロデューサー・シリーズ 片山杜秀がひらく「日本再発見」 “戦前日本のモダニズム”  
提供:サントリー芸術財団


江藤光紀 (音楽評論)

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2017年9月6(水)
CDレビュー:《モーツァルト/ピアノとヴァイオリンのためのソナタ作品全集U》ヤコブ・ロイシュナー & 漆原啓子
《モーツァルト/ピアノとヴァイオリンのためのソナタ作品全集U》ヤコブ・ロイシュナー & 漆原啓子

《モーツァルト/ピアノとヴァイオリンのためのソナタ作品全集U》ヤコブ・ロイシュナー & 漆原啓子

曲目

  1. ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第32番ヘ長調.K.376
  2. ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第33番ヘ長調K.377
  3. ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第31番変ロ長調K.372
  4. ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第34番変ロ長調K.378
  5. ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第35番ト長調K.379
  6. ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第36番変ホ長調K.380
  7. ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第37番イ長調K.402
  8. ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第38番ハ長調K.403
  9. ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第39番ハ長調K.404

◎作曲:モーツァルト

演奏 ヤコブ・ロイシュナー(P) 、漆原啓子(Vn)

録音:2016年3月15,16日(4,5)、2016年10月27日(2)、2017年3月14〜16日(1,3,6,7,8,9) 彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール
会社:日本アコースティックレコーズ  番号:NARD5057/8  定価:3500円

ピアノのヤコブ・ロイシュナーは日本では余り馴染みがないが、1974年ドイツのフライブルク生まれで、広いレパートリーでもって演奏活動を行うと同時に、現在デトモルト音楽大学教授などで教育活動に携わる他に、ヨーロッパ各地やアジアの日本でも定期的にマスター・クラスを開いて後進の指導に当たっている。それだけに学識も深いようで、このCDのライナーノーツも彼が受け持っている。

そのように記すと、どこか学究的な演奏を思い浮かべるが、決してそのようなことはない。深い学識に裏付けられた確かな様式観がフォルテピアノを意識したような軽やかなタッチによって生き生きとした音楽を生みだしている。ただ録音のせいか、ピアノの音が横に広がり過ぎている感があるので、本当の音はもう少し粒立ちがはっきりしたのではなかろうか。

漆原のヴァイオリンは美しい音を持っているが、それに寄りかからないだけの伸びやかな歌が淀みない音楽を作っているのが好ましい。細部に至るまで曖昧な所はなく、しかも引き締まった格調の高さは、この演奏をロイシュナーと対等の立場で、いささかも“オブリガート・ヴァイオリン付きのピアノ・ソナタ“になることはなく、両者が一体になって実に好ましい結果をもたらしている。特にどの曲の出来が良いということはなく、すべての曲が高い水準でまとめられているのもこのアルバムの価値を高めている。すでに発売されている第一集も同様であり、いずれ続くであろう第三集も期待される。

野崎正俊(音楽評論家)

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