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[クラシック・ニュース 2018/2/27〜 3/5]
2018年3月3日(土)
東京音楽通信 〔228〕 2018年2月
透徹したリリシズム

オリ・ムストネン ピアノ・リサイタル ―― ィンランド出身のムストネン。最近は指揮者、作曲家としても活躍していますが、今回はピアノ・ソロでのリサイタル(2月10日、すみだトリフォニーホール)。

まずはシューマン「子供の情景」から。手首のスナップを効かせる独特な演奏スタイルで、鍵盤に垂直に手のひらが落ち、打鍵するとすぐに跳ね上げる。音にスピード感があって、響きも濁らない。そうやってメロディーラインを浮き立たせていくと、和声の厚ぼったい感じが後退し、その分横のラインが強調される。

「木馬の騎士」のような早いリズム層でも、垂直落としをずんずん続けていく。テクニック面で聴きごたえがありますが、ただこうしたピアニズムはシューマンの音楽にあっているのかなとは思いました。その点、次のプロコフィエフ(ピアノ・ソナタ第8番)は演奏スタイルと楽想の相性はばっちり。この曲のどこか不安定な感じとか、醒めたモダニズムが、クリスタルな輝きをもって描きだされた。

後半はベートーヴェンの珍しい作品(「ヴラニツキーのバレエ「森のおとめ」のロシア舞曲の主題による12の変奏曲」)から「アパッショナータ」へ。ここでも透徹したピアニズムが全開。ドイツ系のピアニストのどっしり感とは全く違うもので、こういうクリアさというのはどこか北欧系に共通したものがあるようにも思います。「アパッショナータ」ラストの追い込みは、垂直落としが高速で繰り出され、すさまじいラッシュとなりました。

アンコールでバッハの2声のインヴェンションをやったのが、この人らしい。線で音楽を作っていく思考のエッセンスがぎゅっと詰まっていました。



パーヴォのフレンチ・プロ

パーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団 第1880回定期演奏会Cプロ ―― この日は、フレンチ・プロ。パリ管のシェフを務めたパーヴォのセンスがどうでるか(2月17日、NHKホール)。

デュリフレは繊細な和声感、柔らかでニュアンス豊かなオーケストレーションが魅力のフレンチ・モダンの作曲家です。「3つの舞曲」は初期の作で、ラヴェルを一歩発展させたような作風。1曲目は短い序奏を抜けるとリズムが立って活気付く。2曲目は木管にちょっと風変わりな牧歌が現れる。3曲目は太鼓が一貫して打ち鳴らすパルス上で野性味を帯びた踊りが展開。

サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番」は樫本大進のソロで。第一楽章はねっとりと粘って、サン=サーンスのロマン派らしさを引き出していく。第二楽章は天上の歌。明快で美しい一章でした。終楽章ではキレのあるテクニックを見せる。それぞれの楽章のツボをとらえ、貫禄の快演。

フォーレ「レクイエム」。わずかに湿り気を帯びたしっとりとした弦が柔らかいサウンドの基礎にあり、曲への視点をよく表していました。それから金管がよい。特にホルン。冒頭の刺すような和音は、きつくなり過ぎてもいけない。重々しく荘厳に。

バリトンの青山貴は代演でしたが、野太い声で印象的。合唱(東京混声合唱団)は少し甘いところがあったかな。パーヴォのリードはさらっとしていて、ひっかかりがないというか、食い足りない感じがしないでもないんだけれど、ぴっちりと整った端正さがあり、このくらいがちょうどいいのかも。



ゴージャスな男声陣

東京芸術劇場 コンサート・オペラVol.5 ビゼー「真珠とり」 ―― ビゼーの初期のオペラ、ジョン・健・ヌッツォ(ナディール)、甲斐栄次郎(ズルガ)、妻屋秀和(ヌーラバッド)と豪華な男声陣で、公演も一日だけと贅沢なもの(2月24日)。

芸劇はピットも作れるので舞台付きのオペラもできるんだけれど、底が浅いのでかえってオケが響き過ぎちゃう。この日は演奏会形式だったので歌手が前に出てきたんですが、これで十分バランスよく聞こえました。舞台をどうするかが悩ましくなるけれど(この日はひかえめな照明演出がついていた)、前にピットをはり出すよりもステージ上でオケの前に歌手がいたほうがバランスはいい。ま、今回は声量のある歌手が多いということもあったけどね。

冒頭の甲斐とヌッツオの重唱からゴージャスだった。レイラの鷲尾麻衣はところどころ力みがあるのが気になり、特に第二幕のカヴァティーヌ「かつての日、暗い夜に」はオケとの絡みが生硬で音楽が流れない。これはオケ側にも問題ありか。ただし役どころはしっかりとつかんでいたと思います。このあとのナディールの高音に滞空するアリアは聴きどころですが、ヌッツォはおおむねコントロールされていた。第三幕では甲斐のベテランらしいドスが効かせた表現が印象的。新国あたりでもっと聴きたいところです。国立音大合唱団は少々荒いところもみられたけれど、思い切りよく勢いがあった。

オケの書法はワーグナーやヴェルディからの影響を感じさせ量感がありますが、音像はシャープ。佐藤浩正の率いるザ・オペラ・バンドがメリハリをきっちりつけていたからでしょう。

素朴なサウンドに癒される

マルク・ミンコフスキ指揮レ・ミュジシャン・デュ・ルーブル来日公演 ―― 日本でも高い人気を誇るミンコフスキ、この秋からはオーケストラ・アンサンブル金沢の芸術監督に就任するそうで、ますますその雄姿を見る機会も増えそうです。今回は自身が創設したレ・ミュジシャン・デュ・ルーブル(ルーブル宮音楽隊)を従えて、オペラシティに3度目の登場。過去二回も大変な評判でしたが、オール・メンデルスゾーン・プロはいかに(2月27日)。

ピリオド楽器を使っているからか、チューニングもとにかく丁寧。モダン・オケと違い、管も弦もちょっとくすんだ音色がしますが、それがまたよい味わいを出している。一曲目、序曲「フィンガルの洞窟」はゆったりめのテンポで始まり、のびやかにしなる弦の序奏は、波のうねりとそれを超えて進む帆船の姿を生き生きと描き出します。

続いて間をあけず「交響曲第四番《イタリア》」へ。バスの厳かな動きの上を粛々と歌う第二楽章をはじめ、メンデルスゾーンの楽曲は豊かな旋律美と古典的な和声感覚がバランスをとっています。ロマン派の作曲家の中では古典的な感覚の強い作曲家ですが、演奏も古楽スタイルからイメージするような鋭さはなく、意外に落ち着いた運び。メヌエットから急速な運動を繰り返すフィナーレにかけては、管楽器の朴訥な響きが心地よい。

モダン・オケのギラギラした感じがないのは、はじめのうちこそ少し物足りない部分もあったのですが、後半「交響曲第三番《スコットランド》」になるとメンデルスゾーンの音楽の古典的なたたずまいと相まって、そのナチュラルなサウンドがストンと胸に落ちてきました。モダン・オケのテンションの高さ、張りつめたパワーは長く聴くと少し疲れるんですが、この楽団はフォルテが連続しても耳障りにならず、ティンパニや金管の自然な破裂音はむしろ心地よさを増幅してくれます。三楽章アダージョではチェロがヴィブラートをたっぷり効かせて肉感的に歌うなど、古楽の枠にとらわれない自由な表現も見られました。フィナーレでは繰り返される歓喜のメロディーが雄大に広がるコーダを演出 。ミンコフスキの茶目っ気を堪能させてくれる演奏でした。

マルク・ミンコフスキ指揮レ・ミュジシャン・デュ・ルーブル来日公演  
(C)大窪道治/提供:東京オペラシティ文化財団  


江藤光紀 (音楽評論)

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2018年3月3(土)
ソプラノ:加納悦子 20世紀の歌曲を集めて〜詩人ヘルダー リンの世界を歌う!
ソプラノ:山内房子
ソプラノ:加納悦子
左)ピアノ:子安ゆかり
左)ピアノ:子安ゆかり

ソプラノ:加納悦子が20世紀のドイツリートに取り組む。彼女はテーマ性のある作品に大きな関心がある。

今回のリサイタルでは詩人フリードリヒ・ヘルダーリン(1770-1843)の詩にテーマを置いた。ヘルダーリンは20世紀になって大きく評価されるようになって、多くの作品が生み出されるようになる。「インタビュー@クラシック」で加納悦子がその心境を語る。

「インタ ビュー @クラシック」
http://classicnews.jp/interview/index1202.html

これまでヘルダーリンは極めて難解な作品といわれていた。加納悦子にとって、音楽作品としてとらえると、文字として受け止めるのとまったく逆にわかりやすいということが、今回歌ってみて初めてわかった。

ピアノの子安ゆかりはたピアノのほかに、博士論文の研究テーマにヘルダーリンを選んでいた。このたび二人でタッグを組んでヘルダーリンに向かう。加納悦子はこれからもドイツリートで今の時代、自分が生きていた時代を歌いたいと考えている。

Face Book 加納悦子
https://www.facebook.com/加納悦子-Etsuko-Kanoh-1625859017693534/


コンサート情報
《夕べの幻想〜詩人ヘルダーリンの世界 〜20世紀の歌曲を集めて》

2018年3月 9日(金)19時 MUSICASA ムジカーザ  
《夕べの幻想〜詩人ヘルダーリンの世界 〜20世紀の歌曲を集めて》
加納悦子(メゾ・ソプラノ)
子安ゆかり(ピアノ)

会場:MUSICASA ムジカーザ TEL:03-5454-0054
渋谷区西原3-33-1 小田急線、東京メトロ千代田線「代々木上原駅」5分

  • プフィッツナー(1869-1949):許しを求めて
  • ヒンデミット(1895-1963):日没/昔と今/断章
  • ウルマン(1898-1944):夕べの幻想
  • アイスラー(1898-1962):ヘルダーリン断章 
  • ロイター(1900-1985):四季
  • ヴォルペ(1902-72):逍遥
  • フォルトナー(1907-87):ヒュペリオンの運命の歌/沈みゆけ/美しい太陽
  • ゲンツマー(1909-2007):生の半ば
  • ブリテン(1913-76):ソクラテスとアルキビアデス

全席自由 5000円
ご予約・お問合せ:03-3565-6771
オフィスアルシュ https://www.officearches.com/concert/mar-apr-2018/
チラシ(PDF/1.63MB)
※こちらのPDFを印刷して、チラシとしてご利用頂けます。

注:
「フリードリヒ・ヘルダーリン(1770-1843) の詩は、19世紀のドイツ・リート全盛期には埋もれた存在だったが、20世紀になると彼の詩は空前の勢いで<歌>となっていく。高い理想を掲げ、やがて心の闇に籠った孤高の詩人の言葉が新しいリートとなって花開く。」  

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2018年3月3(土)
「METライブビューイング 2017-18」 ドニゼッティ《愛の妙薬》 東劇ほか全国公開 3月3日から!

映画館で楽しむ「METライブビューイング 2017-18」《愛の妙薬》
3月3日から上映がはじまる。

「METライブビューイング」はニューヨークでいま上演中のメトロポリタン・オペラ《愛の妙薬》を映画館の大スクリーンと、迫力の音響で体感することができる。

《愛の妙薬》はおなじみの「人知れぬ涙」、名アリアが歌われる素晴らコミカルなオペラである。METならではの最強のキャストでのぞむ!3月3日(土)より全国公開!

《愛の妙薬》のあらすじ

19世紀前半のスペイン、バスク地方。地主の娘アディーナは、美貌と知性を兼ね備えたとびきりのお嬢様。今日も農民たちに、『トリスタンとイゾルデ』の物語を読み聞かせる。そんなアディーナに夢中の農夫ネモリーノは、物語に出てきた「惚れ薬」が気になって仕方がない。軍曹ベルコーレがアディーナを口説くのを見たネモリーノは、勇気を出して告白するがけんもほろろにいなされる。そこへいんちき薬売りのドゥルカマーラが現れ、「惚れ薬」があるといいだすが…。

「METライブビューイング 2017-18」 ドニゼッティ《愛の妙薬》 「METライブビューイング 2017-18」 ドニゼッティ《愛の妙薬》
「METライブビューイング 2017-18」 ドニゼッティ《愛の妙薬》 「METライブビューイング 2017-18」 ドニゼッティ《愛の妙薬》
(C)Karen Almond/Metropolitan Opera  
上映情報

METライブビューイング『ドニゼッティ《愛の妙薬》』
ドニゼッティ《愛の妙薬》
上映期間:2018年3月3日(土)〜3月9日(金) 
新宿ピカデリー・東劇ほか全国にて“開演”!

上映時間:2時間48分(休憩1回)
MET上演日:2018年2月10日 言語:イタリア語

キャスト&スタッフ
ドミンゴ・インドヤーン《指揮》
バートレット・シャー《演出》

イルデブランド・ダルカンジェロ《ドゥルカマーラ》
マシュー・ポレンザーニ《ネモリーノ》
プレティ・イェンデ《アディーナ》
ダヴィデ・ルチアーノ《ベルコーレ》

作品詳細:http://www.shochiku.co.jp/met/program/87/

METライブビューイング2017-18《愛の妙薬》予告映像 https://www.youtube.com/watch?v=8uwUXOFKozg


試聴:ナクソス・ミュージック・ライブラリー(NML)
ドニゼッティ《愛の妙薬》:
http://ml.naxos.jp/KeywordSearch2.aspx?word=%E6%84%9B%E3%81%AE%E5%A6%99%E8%96%AC

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2018年3月3(土)
「エッセイ@クラシック」札幌交響楽団東京公演2018(2018.2.6(火)サントリーホールを聴いて!

札幌交響楽団東京公演2018(2018.2.6(火)サントリーホール

指揮:マックス・ポンマー

曲目

  • ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
  • ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
札幌交響楽団東京公演2018(2018.2.6(火)サントリーホール 札幌交響楽団東京公演2018(2018.2.6(火)サントリーホール
札幌交響楽団東京公演2018(2018.2.6(火)サントリーホール  

サントリーホールにベートーヴェンが格調高く響いた。

本年3月末に任期満了する札響主席指揮者マックス・ポンマーの紡ぐベートーベンはなんと優雅で格調高いことだったろうか。言ってみれば楽譜通りなのだがそこにはあふれ出るばかりの音楽がある。ウィーンの田舎の風景が見えるようで時代を超えた品格がある。おもえば最近私たちはクラシックを聴くとき何か衝撃的とか売れる売れないとかそんなことばかり考えていないか。一方ではCDではなくレコードの古風な音色を求めたり結局何を望んでいるのかわからなくなっているということはないか。

マックス・ポンマーはいまから30年以上前にサントリーホールが招いて来日した。日本に来て読響と東京混声合唱団でバッハの「クリスマス・オラトリオ」をサントリーホールで上演した。私はこの演奏があまりに素晴らしくて合唱音楽振興会の機関紙「合唱音楽」でインタビュウすることにした。そのとき東ドイツに生活する彼からは東のまだ戦後がおわっていないという生活面の遅れを訴える声が聞けてびっくりした。日本ではまだ東の社会主義の幻想が残っていた。その後ベルリンの壁が崩壊したりして彼は行方不明とのうわさもながれた。幸い無事だったことがわかり札響をはじめとして日本のオケも振るようになった。彼このような指揮者をもっと聴いてみたくなるのは私だけだろうか。ベートーヴェンらしい響きを聴いたような気がした。

 2018.2.14小林信一(音楽ライター 記)

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