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インタビュー@クラシック
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[クラシック・ニュース 2010/8/29- 2010/9/4]
2010年9月2日(木)
[新譜CD情報] 小沢征爾の金字塔的録音!リマスタリングとBlu-specの見事な音質で蘇る!
《メシアン:トゥーランガリラ交響曲、武満徹:ノヴェンバー・ステップス 小澤征爾 指揮 トロント交響楽団》

曲目:
DISC 1
 トゥーランガリラ交響曲 
DISC 2
 1. ノヴェンバー・ステップス
 2. アステリズム〜ピアノと管弦楽のための
 3. グリーン
 4. 弦楽のためのレクイエム
 5. 地平線のドーリア
演奏:
指揮:小澤征爾
トロント交響楽団
番号:SICC-20122〜20123 (Blu-spec CD2枚組)
価格:\3,990(税込)
 小澤征爾のキャリアを確立してゆく過程で最も大切なレコーディングがこのCDである。それが新しいテクノロジーでリマスターをして、Blu-specディスクとして登場した。Blu-specディスクは最近何回か聴く機会があったが驚くほどの進歩を感じて、興味を持って眺めている。新しい音響条件でこの名演が蘇ることに大きな意味をもつ。

 ジャケットがLP時代のものをすべて収められた。LPのジャケットは内容的にも視覚的にも一つの文化であった。それが蘇ったのも大変嬉しい。素晴らしいCDの発売である。

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2010年9月2日(木)
ヴァイオリン:川畠成道 ついにシューマンのソナタ第1番に挑戦!
川畠成道 岡田博美
 ヴァイオリン:川畠成道はこれまでシューマンのヴァイオリン・ソナタに取り組むことはなかった。シューマンの内省的な世界をいかに表現するか、川畠自身の音楽観の磨きこみへのこだわりが理由である。
 
 第7回目のソナタシリーズで、シューマン生誕200年にちなみソナタ第1番に挑戦することになった。彼の焦燥感、孤独感を表現出来るかがこのコンサートの大きな聴きどころである。同じ時代に生きたクララ・シューマンの小品とブラームスのソナタ2曲を入れて、曲の対比や共通性を鮮明にしてゆくという。ピアノの岡田博美とは2006年以来の共演となる。ドイツロマン派の様式美とその中に潜む作曲家の声、歌心を表現できるパートナーとして迎えた。

川畠成道
http://www.kawabatanarimichi.jp/info/info_100531.html
 
岡田博美
http://www.hiromi-okada.org/index.html
コンサート情報
《第7回ソナタシリーズ 〜シューマンークララーブラームスへの道〜》
2010年9月11日(土) 13時30分 紀尾井ホール   

川畠成道(ヴァイオリン)
岡田博美(ピアノ)

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 Op.100
ロベルト・シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 イ短調 Op.105
クララ・シューマン:3つのロマンス Op.22より第1番
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 二短調 Op.108

料金:S席5,500円  A席4,500円
お問い合わせ:03-5414-5914

チラシ(表・裏)(PDF/476k)
※このPDFのファイルからプリントして下さい。チラシとして活用できます。

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2010年9月2日(木)
江藤光紀:東京音楽通信〔100〕 2010年8月
 2003年4月にスタートしたこの欄も、連載100回を迎えることができました。これからもご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。
 今年の夏は本当に暑かったですね。日差し除けの帽子を初めて購入したのですが、これだけ暑いとさすがに仕事にも影響が及びます。みなさんは暑さ対策、いかがなさっているでしょう。


サントリー・サマーフェスティヴァル2010〈MUSIC TODAY 21〉
音楽の現在(8月23日、ブルーローズ:小ホール)――「音楽の現在」は近年作曲された世界の作品から、今が旬な人の曲、将来性のありそうな人の曲を演奏するシリーズ。「どういう基準で選曲しているんだろう」と思っていたのですが、最近は選者のコメントもしっかり出るようになりました。毎年、オーケストラ曲と室内楽曲が1日ずつ組まれているのですが、今年、私は2007年から今年にかけて作曲された5曲を上演する室内楽をチョイス。
 
 まずジャン=リュク・エルヴェの「交替/地形図〜エレクトロニクスとアンサンブルのための」(2009/10)。室内オーケストラが左右に分かたれ、右のセクションの身振りを左のセクションが反転して模倣するという形で始まりました。例えば右が鋭いアタックで発音すると、左手のセクションは引き延ばした音の最後を強く突くといった具合。後半エレクトロニクスが入ってくるという話だったので、録音した音源を逆再生するのかな、と予想したんですが、はずれ。次はクリストフ・ベルトラン「サトカ」(2008)。上行したり下行したりする音階のようなメロディーをずらして組み合わせていくタイプの曲で、ミニマルな中にリズムの脱臼効果や音色の変化を愉しむという趣向です。
 
 作曲者にとって「これまで誰も耳にしたことのない、ある一つの音源がこだましていくような」波を想起させるというジョナサン・コール「遺された灰」(2009)は数人のアンサンブル曲ですが、各パートはかなり自由に記譜されているようでした。風船をこする音など、繊細な響きを随所に用いていますが、「耳にしたことのない一つの音源がこだまする」というイメージは、ちょっと私には理解できませんでした。
 
 後半。フランスのジョルジュ・アペルギスの「シーソー〜アンサンブルのための」(2007-08)は、大家だけはあって聴きやすく、オーケストラも雄弁に鳴っています。マルトン・イレーシュ「トルソV〜アンサンブルのための」(2007)が意図した「エネルギーの影の原理」は、意味に満ちた沈黙を作品の中でどう実現するかというところにアイディアのポイントがあり、その探求は聴き手にも伝わっていたと感じました。
 
 アンサンブル・ノマドはメンバーが個性的で、普通に聴いたらかなり疲れるであろうラインナップがさらっと聴けたのは、彼らの力量に負うところも大きかったのでしょう。
テーマ作曲家〈ジョナサン・ハーヴェイ〉(26日、ブルーローズ:小ホール)――今年のテーマ作曲家として選ばれたのは1939年生まれのイギリスの作曲家ジョナサン・ハーヴェイ。ハーヴェイの音楽は、戦後前衛音楽の急進的な書法を消化しているだけではなく、オーセンティックな音楽感覚にも裏打ちされている上に、インドをはじめとする多様な文化的バックグランドを併せ持っています。
 
 それはこの日、前半に置かれた三曲の室内楽曲(「スリンガラ・シャコンヌ」(2008)、「隠された声2」(1999)、「シェーナ」(1992))の広がりからもよく伝わってきました。激しい身振りを持つ弦楽三重奏を管楽器の朴訥な響きと対比させた「隠された声2」や、歌謡的なヴァイオリンを室内オーケストラの多彩な音色の中で、まるでオペラのディーヴァのように際立たせる「シェーナ」(独奏ヴァイオリン:山本千鶴)では、語りぐちが場面ごとに千変万化していくのです。
 
 オリエンタルな発想は後半上演された「弦楽四重奏第四番」の中で、瞑想的な気分として表現されていました。ライブ・エレクトロニクスの使用も、70を超えても衰えない作曲家の実験精神の表れでしょう。ただホモフォニックな響きが大半を占めるこの曲は前半に比べるとやや変化に乏しく、冗長な印象も受けましたが。
 
 前半は板倉康明指揮東京シンフォニエッタの演奏。演奏者の自発性を引き出すタイプではないけれど、よく統制が効いていて安心して身を任せられます。後半のカルテットは大谷康子がトップを弾くクヮトロ・ピアチェーリに、ライブ・エレクトロニクスの技術者としてIRCAMのジルベール・ヌノが参加しました。
芥川作曲賞創設20周年記念 ガラ・コンサート〈管弦楽〉(27日、大ホール)――今年は賞が制定されて20年の記念年で、過去の受賞者の独奏曲マラソン・コンサートをはじめ成果をたどるプログラムが組まれました。その目玉が、受賞記念委嘱作から選ばれた4作のオーケストラ曲の再演です。「初演して終わり」が当たり前の現況で、再演を通じて理解を深める機会は、現代音楽が現代に根付くための本当に貴重な場になっています。
 
 ところがフェスティヴァルの開幕当日に、この日予定された作曲家の一人が薬物所持容疑で逮捕されるというニュースが伝わってきました。主催者側の対応が懸念されましたが、結局当日に「事情により上演しません。払い戻しを希望する方には対応します」というアナウンスが流れただけ。祝祭気分に水を差さないという配慮なのかもしれませんが、作曲家がいなくても曲の上演は可能なわけで、判断の理由は示すべきだったのではないでしょうか。釈然としません。
 
 さて第一曲目、三輪眞弘「弦楽のための369、B氏へのオマージュ」(2006)は、弦楽オーケストラが指揮者を360度、円形に囲み、倍音構造を利用したサウンドが旋回しながら受け継がれていきます。それは次第次第に音高を上げながら紅潮していって、しまいには生贄の供物を神にささげる異教の儀式のようなものへと変貌していきます。奇抜なアイディアが、気をてらうというにとどまらない表現へと高められています。
 
 二曲目。山本裕之「モノディ共同体」(2005)。一つの秩序に従って整然と動くオーケストラと言う枠ではなく、かといっててんでばらばらな無秩序を目指しているのでもなく、それぞれがそれぞれの歌を紡ぎながら、なおかつ緩やかに結びつく「共同体」。この曲でイメージされる落としどころはだいたいそんなところでしょうか。おおらかな運びの中に、それぞれのパートに込められたユニークな音の身振りが際立ちます。
 
 後半が07年に急逝した江村哲二の「プリマヴェーラ」(2007)。ボッティチェリの名画に触発され、ルネッサンス詩人の詩に付曲したこの作品は、歌唱(森川栄子)を小規模のオーケストラが豪華絢爛に縁取って見せたというもの。高密度の音響空間は、プログラムノートによれば「FFT解析を応用」したもので…っていうかFFT解析って何だ? そういうものを使うと、こういうすごい音楽がぱぱっとたちどころに出来上がってしまうのだろうか。

 少し古い話題になりますが、最後に7月後半のオペラ、コンサートについてコメントしておきましょう。まずは前回の記事で取り上げたトリノ歌劇場のもう一つの演目「ラ・ボエーム」。ミミのフリットリとロドルフォを演じるアルバレスという豪華歌唱陣に魅了されました(7月25日、神奈川県民ホール)。
 
 でも私は、大好きなプッチーニの中でも「ボエーム」だけは観るたびに、音楽はともかく筋が「なんでそういうふうになっちゃうかなあ」と疑問がわいちゃうんです。今回みたいに音楽がいいとなおさら。玄人筋からめちゃくちゃ評価の高かったノセダはこの日も絶好調でした。
 
新日本フィル、独奏コパチンスカヤ
© 堀田力丸
 7月30日の新日本フィルハーモニー、トリフォニー・シリーズ第465回定期は、ヴァイオリン界の異端児パトリツィア・コパチンスカヤが登場して、リゲティの「ヴァイオリン協奏曲」を演奏するという大いに興味をそそられるプログラムでした。本来ロックあたりをやっているはずが、何か間違ってクラシックに来てしまったという雰囲気のコパチンスカヤは、この日も憑依されたかのような呪術的演奏を繰り広げ、会場を飲んでしまいました。
 
 新日本フィルとトリフォニーは地域密着を掲げていることもあって、地元の愛好家といった感じのリスナーの方を会場に多くおみかけします。この日も隣で中年のおじさまがたが、「今日は後半(コダーイ「ハーリー・ヤーノシュ」組曲)が愉しみだね。(「ウィーンの音楽時計」のメロディーをふんふんと歌いながら)わけのわからない現代音楽ばっかりきかされちゃたまんないよね」と開演前に談笑していらっしゃいました。リゲティの後、隣席からうちのめされたような沈黙が…。
 

江藤光紀(音楽評論)

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2010年9月2日(木)
もう一つのジャンルを超えたコラボレ−ション!仕事帰りに手頃な1時間でコンサートを楽しめる!
塩谷哲・松本和将(ピアノ・デュオ)
塩谷 哲 松本和将
 ジャズ界で活躍するピアニストの塩谷哲とクラシック界の中堅ピアニスト松本和将がジャンルを超えてコラボレ−ションをはかる。
 このコンサートでは1時間で楽しめる新しいコンサートスタイルを作る試みがなされる。仕事帰りのひとときをコンサートで、をテーマに!

 「クラシックもジャズも同じで、その瞬間に自分が心を動かされることを感じたくてやっている。それを松本君とは共有している気がします。だから一緒にやりたいと思う」塩谷談。

トリトン・アーツ・ネットワーク
http://www.triton-arts.net/index.html

塩谷哲
http://www.earth-beat.net/
松本和将
http://www.kaz-matsumoto.com/top.php
コンサート情報
《塩谷 哲・松本和将(ピアノ・デュオ)》 630(シックスサーティー)コンサート〜充電の1時間〜
2010年9月15日(水)18時30分 第一生命ホール(晴海トリトンスクエア内)
(19:30終演予定 約1時間の公演)      


ショパン:ポロネーズ第6番変イ長調「英雄」Op. 53(松本和将ソロ)
曲目未定(塩谷ソロ)
<ジャズ&クラシックコーナー>
J.S.バッハ:インヴェンション第1番ハ長調BWV772
J.S.バッハ=塩谷哲:インヴェンション第1番
C.ペツォルト(伝J.S.バッハ):メヌエット ト長調BWV Anh114
C.ペツォルト=塩谷哲:2つのメヌエット
<ピアノ・デュオコーナー>
塩谷哲:ヴァルス
ミヨー:スカラムーシュより第1楽章、第3楽章

一般 ¥2,000  

お問い合わせ:03-3532-5702
詳細:
http://www.triton-arts.net/concert/calendar/201009.html#100915

チラシ(表・裏)(PDF/368k)
※このPDFのファイルからプリントして下さい。チラシとして活用できます。


塩谷 哲(ピアニスト/作・編曲家/プロデューサー)

 東京藝術大学作曲科出身。オルケスタ・デ・ラ・ルスのピアニストとしての活動(1993年国連平和賞受賞、95年米グラミー賞ノミネート)を経てソロ活動を開始、現在まで11枚のオリジナルアルバムを発表する。自身のグループをはじめ、世界的ジャズピアニスト小曽根真との共演、SING LIKE TALKINGの佐藤竹善や矢井田瞳、絢香、渡辺貞夫、平井堅、今井美樹らとのコラボレートの他、モーツァルトのピアノ協奏曲などのクラシック演奏、05年愛・地球博にてビッグバンドを率いたステージを演出するなど、活動のジャンル・形態は多岐に渡る。

松本和将(ピアニスト)

 中学3年で第48回全日本学生音楽コンクール全国優勝。1998年第67回日本音楽コンクール優勝。併せて増沢賞はじめ全賞を受賞。97年ホロヴィッツ記念国際ピアノコンクール第3位、01年第53回ブゾーニ国際ピアノコンクール第4位、03年世界三大コンクールの一つ、エリザベート王妃国際音楽コンクール第5位入賞。各地でのソロリサイタルをはじめ、これまでプラハフィル、読売日響、日本フィル、新日本フィル、東京交響楽団、岡山フィル、関西フィル、倉敷音楽祭祝祭管弦楽団他多くのオーケストラと協演。チェコ、中国、ドイツ、スウェーデン、ニュージーランドなどでの演奏会にも出演する。ビクターエンターテインメントより9枚、タクトミュージックより1枚のCDをリリース、各誌で絶賛される。

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2010年9月2日(木)
ジャズ・ピアニスト:小曽根真のあらゆる可能性! ピアニスト:児玉桃とのコラボレーション!
小曽根真
Photo:Kiyotaka Saito
児玉 桃
Photo:Vincent Garnier
 ジャズ・ピアニスト:小曽根真のあらゆる可能性を探り、注目のアーティストの「現在(いま)」をきわめるシリーズ。
 彼はジャズのジャンルをこえて舞台音楽やクラシックの分野でもその才能を発揮してさまざまな話題を作っている。
 シリーズの第一弾は実力派ピアニスト:児玉桃とのコラボレーションである。2006年に児玉とバッハの3台のピアノ協奏曲を共演して相互にその才能を感じ、この試みになった。作品の新しいクリエイティブな力に期待したい。このシリーズの今後に興味が注がれる。

埼玉県芸術文化振興財団
http://www.saf.or.jp/arthall/index.html
 
小曽根真
http://www.makotoozone.com/
コンサート情報
《小曽根 真の現在》 Vol.1 ソロ×デュオ with 児玉 桃
2010年9月4日(土)15時 彩の国さいたま芸術劇場・音楽ホール

プログラム
前半:小曽根のソロ
後半:モーツァルトの2台のためのソナタニ長調 KV 448 (375a)
    ストラヴィンスキー《春の祭典》から
ほか

正面席5000円 バルコニー席4000円 学生席(バルコニー)2000円  完売!

お問い合わせ:0570-064-939
彩の国さいたま芸術劇場
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/m0904.html

チラシ(表・裏)(PDF/404k)
※このPDFのファイルからプリントして下さい。チラシとして活用できます。

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2010年8月31日(火)
[CDレビュー]《ベートーヴェン/後期ピアノ・ソナタ集》レオンスカヤ
曲目:
1.ピアノ・ソナタ第30番ホ長調Op.109
2.ピアノ・ソナタ第31番変イ長調Op.110
3.ピアノ・ソナタ第32番ハ短調Op.111
作曲:ベートーヴェン
演奏:エリーザベト・レオンスカヤ(P)
録音:2009年10月30日〜11月1日 ドイツ、マリエンミュンスター修道院
会社:独MDG
番号:9431622-6
定価:オープン価格(輸入盤)
 ブラームスの重量級の演奏の他に、シューベルト、ショパンなどで知られるレオンスカヤにとって、これは初のベートーヴェンのソナタの録音とされる。後期の3大ソナタであるが、少しの気負いもなく、音楽が自然にわき出てくるような落ち着きが好ましい。レオンスカヤの近年の円熟ぶりを示したものだろう。
 
 第30番ではあくまでも透徹した美しさにあふれ、そこにはまた暖かな息遣いがベートーヴェンの晩年の心情を深く表現している。変奏曲の形式で書かれた第3楽章もよく歌われている。抒情的な第31番も詠嘆の色が濃く、第32番では動と靜のコントラストが鮮やかに表現されている。
 
 録音には1901年製のスタインウェイD型ピアノが使用されているとの表記があるが、このピアノの音は高音部に若干の独特の丸みを帯びているように思われる。


野崎正俊(音楽評論家)

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2010年8月31日(火)
[CDレビュー]《チャイコフスキー/バレエ音楽『くるみ割り人形』全曲》ラトル指揮
曲目:バレエ音楽『くるみ割り人形』全2幕
作曲:チャイコフスキー
楽団:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:サイモン・ラトル
録音:2009年12月29~31日(第2幕ライヴ) ベルリン、フィルハーモニー
会社:EMI
番号:TOCE90150~1
 このCDは2009年大晦日のジルヴェスター・コンサートでベルリン・フィルが『くるみ割り人形』第2幕を演奏したのをきっかけにしてバレエ音楽全曲が録音されたものである。ベルリン・フィルがこの曲のコンサート用の組曲を録音した例はあるが、バレエ全曲を録音したのはこれが最初だという。
 
 演奏はバレエのための実用を目的としたわけではないし、かといってシンフォニックな構成力に力点を置いたものでもない。あくまでも自然な音楽の流れに沿ったファンタジックな要素が強い。しかもベルリン・フィルの洗練されたアンサンブルが美しく、チャイコフスキーの通俗性を超えて、この曲の新しい局面を教えてくれる。
 
 なおディスクにはジルヴェスター・コンサートにおける第2幕の演奏家らの抜粋映像を収録したDVDが添付されていて、この曲をベルリン・フィルが演奏することの意義についてサイモン・ラトルがインタビューに答えている。またCD-EXTRAからインターネットに接続すると、ベルリン・フィルのメンバーからのメツセージが見られ、日本人ヴァイオリニスト町田琴和も登場する。
 
 さらにベルリン・フィルのデジタル・コンサート・ホールのサイトにつながる筈であるが、このCDが日本先行発売のため全世界発売日の9月6日までは開くことが出来ないと表示されている。至り尽くせりのサーヴィス盤である。


野崎正俊(音楽評論家)

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